塩素浴はアトピー性皮膚炎の治療に効果的、、なのか? 第3回(全3回)

Hon KL, et al. Efficacy of sodium hypochlorite (bleach) baths to reduce Staphylococcus aureus colonization in childhood onset moderate-to-severe eczema: A randomized, placebo-controlled cross-over trial. J Dermatolog Treat 2016; 27:156-62.

アトピー性皮膚炎に希釈塩素(Bleach)浴療法は有効か?の最終回。

■ アトピー性皮膚炎に対する希釈塩素(Bleach)浴療法に関する、最終回です。

■ Abstractのみしか入手できなかったのですが、最近、希釈塩素浴のクロスオーバー試験が報告されていましたのでご紹介いたします。

 

P: 中等度から重症のアトピー性皮膚炎患者40名
E: 週2回の希釈Bleach(塩素)入浴
C: 水のみ
O: SCORAD(アトピー性皮膚炎の重症度の指標)、黄色ブドウ球菌検出率

 

結果

■ 4週間のウォッシュアウトを挟んだクロスオーバーで実施された。

■ 40例全例が試験を完了したが、14例はアドヒアランス不良だった。

■ 4週後のCDLQI(QOL指標)、皮膚水分量、TEWL(経皮的水分蒸散量=バリア機能を反映)、抗生剤・ステロイド外用、抗ヒスタミン薬内服、総IgE値に有意差は認められなかった。

■ ITT解析では、希釈塩素(Bleach)入浴に比べ、水入浴の方が有意にSCORAD(アトピー性皮膚炎の重症度の指標)が低下した(水 -5.7±15.4 vs. Bleach浴 0.6±12.4; p=0.03)

■ 一方、希釈塩素(Bleach)入浴は、ステロイド外用薬(平均1.1±2.6日/週; p=0.014)と抗生剤外用(1.0±2.8日/週; p=0.044)を有意に減少させた

 

コメント

■ 希釈塩素入浴療法を検討したクロスオーバー試験になりますが、希釈塩素入浴療法には明らかな効果はなかった、とまとめられます。

■ 塩素浴はアトピー性皮膚炎の治療に効果的、、なのか? 第1回では希釈塩素浴は効果があるとされ、塩素浴はアトピー性皮膚炎の治療に効果的、、なのか? 第2回では、その論文の信憑性に疑問が呈され、さらにこの研究結果は、希釈塩素浴に否定的となっています。

■ ややこしい話ではありますが、塩素入浴療法に関しては、レビューなどで時々言及されることがあるものの、「消毒」そのものに対して自分自身が否定的てもあり、日常診療には使用していません(石鹸洗浄で十分と考えています)。

■ この結果をみて、使用するかどうかはよほど患者さんを選ぶべきではないかと思ってしまいますが、中等症以上のアトピー性皮膚炎患者さんに対してはオプションの治療としては使用することを考慮はできると思います。

 

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