慢性皮膚疾患に対する患者教育は、生活の質や重症度を改善する: システマティックレビュー

2017年6月8日

Pickett K, et al., Education to improve quality of life of people with chronic inflammatory skin conditions: a systematic review of the evidence. Br J Dermatol 2016; 174:1228-41.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26833102

 


慢性の皮膚疾患に対するスキンケアの重要性は医療者のみならず患者さんも認識されていることでしょう。しかし、「塗る」作業を毎日続けていくことは決して簡単ではありません。

そこで、続けていくためには医療者からの指導や教育が重要になってきます。今回は、実際に教育プログラムが患者さんの生活の質や重症度に影響するかどうかを検討したシステマティックレビューをご紹介いたします。


 

P: 2014年7月までのCochrane Library、PsychINFO、 Medline、Embaseから抽出した慢性皮膚疾患に対するコンプライアンスを検討したランダム化比較試験(RCT) 7件

E: 教育プログラムで介入した群

C: 対照群

O: health-related quality of life(HRQoL;健康関連の生活の質)と重症度は改善するか

 

結果

成人の乾癬のRCT 2件は、通常ケアの補助として、グループ単位でのテキスト・メッセージ教育を行い、対照よりhealth-related quality of life(HRQoL;健康関連の生活の質)と重症度が改善した。

さらに、アトピー性皮膚炎のある児とその両親に対するグループ単位の教育は、12ヵ月時点での教育が行われない児より、両親のHRQoLと児の疾患重症度が有意に改善したことを示した。

残りのRCTは、乾癬に対する教育的セッション、アトピー性皮膚炎児の保護者に対するウェブサイト、ざ瘡のある女性に与えられるスキンケアやメイクアップ方の情報、症状に対するかゆみ-対処プログラムを評価した。しかし、これらのRCTは、通常ケアと比較して、HRQoLまたは重症度に対する有意な効果を示唆しなかった。

有効な介入の共通した特徴は、長い介入(6週~3ヵ月以上)と、多数の専門家チームによる介入だった。

 

コメント

教育プログラムは生活の質や重症度を下げうるが、介入を長期間、多人数の専門家チームで行う必要があるとまとめられます。

この結果は、スキンケア教育プログラムで成果を上げるのも決して簡単ではなく、単なる情報やウェブサイトの作成では十分ではないことを示していると言えるでしょう。

とはいえ、ひとりひとりに十分な時間をかけて説明することすら簡単ではない外来診療で、このようなプログラムを実施することは困難です。アレルギーエデュケーター制度が発足し発展してきており、多くの看護師さんや医療者の方々が積極的に患者教育に関わってくださっています。しかし、残念ながら当院にはエデュケーターの方はいらっしゃいませんし、多くの病院ではそうでしょう。

今後、そのような活動に対してこそ、医療資源が投入されることを期待したいと思います。