日本の生後6ヶ月以上のアトピー性皮膚炎に対するデュピルマブ(デュピクセント)の効果と安全性は?

アトピー性皮膚炎治療の新しい選択肢、デュピルマブとは。

今回は『ほむほむ先生』と研究医『B先生』の会話形式にしてみてみました。感想などをいただければ助かります😌

ほむほむ先生: さて、B先生、今日はアトピー性皮膚炎の治療、デュピルマブに関する論文を読んでみましょう。アトピー性皮膚炎は、慢性的な炎症性皮膚疾患で、特に乳幼児や子どもに多く見られるんですよ。

B先生: はい、お願いします!アトピー性皮膚炎って、具体的にはどれくらいの子どもに見られるんですか?

ほむほむ先生: 良い質問ですね。発症は患者の45%が生後6か月以内、60%が1歳以内、85%が5歳までに起こるんですね。
日本における有病率は、生後6か月から6歳未満で12.9%、6歳以上12歳未満で10.3%、12歳以上18歳未満で9.1%と報告されています。

B先生: 結構多いですね。アトピー性皮膚炎は他の病気を引き起こすリスクもあると聞きました。

ほむほむ先生: その通りです。アトピー性皮膚炎は、喘息、アレルギー性鼻炎、食物アレルギーなど、他のアトピー性疾患を発症させるリスクがあるんです。

B先生: それは大変ですね。それで、今回の治療法につながるんですかね。

ほむほむ先生: 最近注目されている治療法の一つにデュピルマブがあります。これは、アトピー性皮膚炎の炎症を引き起こす情報伝達物質のサイトカインであるIL-4やIL-13のシグナル伝達を阻害する抗体製剤です。
デュピルマブは2017年にアメリカで中等症以上の成人患者に対する治療として初めて承認され、その後、生後6か月以上の小児にも承認されました。

B先生: なるほど。それはどのような研究に基づいて承認されたのですか?

ほむほむ先生: 海外でのこの年齢に対するデュピルマブの承認は、LIBERTY AD PRESCHOOL、LIBERTY AD PEDS、LIBERTY AD ADOLという研究結果に基づいています。しかし、これらの研究には日本人の小児患者が含まれていませんでした。

B先生: それは少し気になりますね。日本人の子どもにも効果があがるのでしょうか?

ほむほむ先生: そこが今回の論文の注目点です。最近、生後6か月以上18歳未満の日本人の中等症以上のアトピー性皮膚炎患者に対するデュピルマブの効果と安全性に関する検討が報告されました。

B先生: とても興味深いですね。日本人のデータが増えることで、治療の選択肢も広がりそうです。

ほむほむ先生: そうですね。アトピー性皮膚炎の治療は日々進化していますから、この論文を読んでみましょうか。

 

Ebisawa M, Kataoka Y, Tanaka A, Nagao M, Laws E, Mortensen E, et al. Efficacy and safety of dupilumab with concomitant topical corticosteroids in Japanese pediatric patients with moderate-to-severe atopic dermatitis: A randomized, double-blind, placebo-controlled phase 3 study. Allergology International 2024.

生後6ヶ月から18歳未満の日本人中等度から重度のアトピー性皮膚炎患者62名に対し、デュピルマブ(n = 30)またはプラセボ(n = 32)を16週間使用し、さらにその後、全ての患者にデュピルマブを52週まで使用した。

背景

■ 日本人の生後6か月以上から18歳未満の中等度から重度のアトピー性皮膚炎患者において、既存の治療法では十分にコントロールされない場合におけるデュピルマブの有効性と安全性を調査した。

目的

■ ランダム化、二重盲検、フェーズ3試験において、患者はデュピルマブ(n = 30)またはプラセボ(n = 32)と同時に局所ステロイドを16週間使用し、その後全患者が16週から52週までデュピルマブを使用した。

■ 主要評価項目は、ベースラインから16週目までのEASI(czema Area and Severity Index)スコアの75%以上の改善(EASI-75)を達成した患者の割合だった。
■ 副次評価項目には、EASIスコアの変化、治療者による全体評価(IGA)スコアが0または1の患者の割合、日常のかゆみ数値評価スケール(numerical rating scale ; NRS)スコアの変化(6歳以上12歳未満の患者を対象に評価、n = 35)が含まれていた。

結果

■ 16週目において、デュピルマブ群の方がプラセボ群よりも多くの患者がEASI-75を達成した(43.3%対18.8%;P = 0.0304)。

■ デュピルマブ群の16週目のEASIスコアの%変化における最小二乗平均(LSM)差はプラセボ群に対して-39.4%だった(P = 0.0003)。

■ しかし、16週目にデュピルマブ群とプラセボ群でIGAスコアが0または1を達成した患者の割合には有意差が見られなかった(10.0%対9.4%;P = 0.8476)。
■ 16週目における最もひどい日常のかゆみNRSスコアの%変化はデュピルマブ群で高かった(LSM差:-33.3%;名目P = 0.0117)。

■ デュピルマブは良好に耐容され、新たな安全性シグナルは確認されなかった。

結論

■ デュピルマブは、既存の治療法では十分にコントロールされない生後6か月以上18歳未満の日本人の中等度から重度のアトピー性皮膚炎患者において、一貫した有効性を示し、良好な耐容性を示した。

 

 

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