新しい株に対応したコロナワクチンは、18歳以上の成人に有効か?

XBB株対応コロナワクチンは、18歳以上にも有効か?

■ 2023年、アメリカでは新しいタイプの新型コロナウイルス(XBBとその亜系統)が流行しました。
■ このXBBは、2022年後半に流行していたBA.4やBA.5とは少し違う特徴を持っていました。
■ そのため、アメリカの食品医薬品局(FDA)は2023年9月11日に、XBBに対応した新しいワクチンを承認しました。
■ このワクチンに関し、接種した人と、実際に起こるCOVID-19の症状や重症度を比べる研究が報告されています。

Tartof SY, Slezak JM, Frankland TB, Puzniak L, Hong V, Ackerson BK, et al. Estimated Effectiveness of the BNT162b2 XBB Vaccine Against COVID-19. JAMA Internal Medicine 2024; 184:932-40.

カイザーパーマネンテ南カリフォルニア医療システムの18歳以上の成人2,854例の症例と15,345例の対照を対象に、2023年10月10日から12月10日までの期間でBNT162b2 XBBワクチンの有効性を評価した。

重要性

■ 最近推奨されたBNT162b2 XBBワクチン(ファイザー・ビオンテック社製; 2023-2024年製剤)による早期の追加的保護効果を示すデータは限られている。

目的

■ 18歳以上の米国成人におけるBNT162b2 XBBワクチン接種と医療機関受診を要するCOVID-19アウトカムとの関連性を推定することである。

デザイン、設定、参加者

■ この症例対照研究は、2023年10月10日から2023年12月10日までの期間に、カイザーパーマネンテ南カリフォルニア医療システムの成人を対象に、BNT162b2 XBBワクチンのCOVID-19関連入院および救急部門(ED)または緊急ケア(UC)受診に対する有効性を推定するために実施された。

■ 症例は急性呼吸器疾患を呈しSARS-CoV-2のPCR検査が陽性だった者、対照は急性呼吸器疾患を呈したがSARS-CoV-2検査が陰性だった者とした。

曝露

■ 主要な曝露は、過去のCOVID-19ワクチン接種歴やSARS-CoV-2感染歴に関わらず、BNT162b2 XBBワクチンを接種したかどうかだった。
■ また、過去の(非XBB)COVID-19ワクチンの接種を未接種と比較し、古いワクチンからの残存する保護効果を推定した。

主要評価項目と指標

■ 症例と対照の分析は、COVID-19による入院とED/UC受診について別々に実施された。
■ 調整オッズ比と95%信頼区間は、患者の人口統計学的特徴および臨床的特徴について調整した多変量ロジスティック回帰モデルから推定された。
■ ワクチン有効性の推定値は、1 - オッズ比 × 100%として計算された。

結果

■ 2,854例の症例と15,345例の対照(年齢中央値[四分位範囲] 56 [37-72]歳; 10,658 [58.6%]が女性)において、XBBワクチン未接種と比較して、中央値34日前に接種されたBNT162b2 XBBワクチンの調整後有効性推定値は、COVID-19入院に対して62%(95%信頼区間, 32%-79%)、ED/UC受診に対して58%(95%信頼区間, 48%-67%)であった。

■ 未接種者と比較して、古いバージョンのCOVID-19ワクチンのみを接種した者は、入院を含むCOVID-19アウトカムのリスク低下に統計学的に有意な差を示さなかった。

結論および関連性

■ この症例対照研究の結果は、(1) BNT162b2 XBBワクチンが幅広いCOVID-19アウトカムに対して統計学的に有意な追加的保護効果を提供し、(2) 古いバージョンのCOVID-19ワクチンは、過去の接種回数や種類に関わらず、入院を含めほとんど長期的な保護効果を示さなかったことから、毎年更新されるCOVID-19ワクチンの幅広い年齢層での使用に関する現在の推奨を再確認するものである。

 

 

論文のまとめ

✅️BNT162b2 XBBワクチンの調整後有効性推定値は、COVID-19入院に対して62%(95%信頼区間, 32%-79%)、救急部門または緊急ケア受診受診に対して58%(95%信頼区間, 48%-67%)であった。
【簡単な解説】 新しいXBBワクチンを接種すると、入院のリスクが62%、救急外来や緊急ケアの受診リスクが58%減ることがわかりました。つまり、ワクチンを打つと新型コロナウイルスによる重症化を大きく防げる可能性があります。
※BNT162b2 XBBワクチンは、ファイザー・ビオンテック社が開発した2023-2024年シーズン用の最新mRNAワクチンです。

✅️古い株対応のCOVID-19ワクチンのみを接種した者も、未接種者と比較して、入院を含むCOVID-19アウトカムのリスク低下に統計学的に有意な差を示さなかった。
【簡単な解説】 古い株対応のワクチンだけを接種した人も、ワクチンを全く接種していない人と比べて、新型コロナウイルスによる入院や重症化のリスクに大きな違いがありませんでした。これは、時間が経つとワクチンの効果が弱くなる可能性を示しています。

 

■ なお、現在日本で流行しているのは「KP.3株」です。
■ 日本でのコロナウイルスの主な流行株は時期によって変化してきました。

■ その関係は、

BA.2株:2022年3月〜5月頃(第6波)
BA.5株:2022年7月〜8月頃(第7波)
XBB株:2023年1月〜5月頃(第8波)
JN.1株:2023年12月〜2024年1月頃(第9波)
KP.3株:2024年3月以降、増加中

という経過です。これらの株は全てオミクロン株の派生型で、時間とともに変異を重ねています。

■ XBB株対応ワクチンで、現在のKP.3株にある程度対応できる可能性があるともいえるでしょう。

■ そして、2024年10月から日本で接種される新型コロナワクチンは、主にオミクロン株の「JN.1系統」に対応したワクチンが使用されています。株に対応したワクチンで接種するのが良いだろうと考えられ、今後、この変異に対応していく必要性があります。
■ これは、変異に対応して株を選定する毎年のインフルエンザワクチンとも通じるものがあるでしょう。

 

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