第2回:(主に)子どもに対する新型コロナワクチンの安全性。ざっくりまとめ。

子どもに対する新型コロナワクチンの安全性。ざっくりまとめました。

■ 昨日は、子どものワクチンの有効性に関してかんたんにまとめました。

■ 今回は、主に子どものワクチンの安全性、もしくは新型コロナ感染のリスクの低減に関する最近の報告を4本、『ざっくりと』まとめました。

 

 

米国:5歳から11歳の子どもへの新型コロナワクチンの安全性と心筋炎のリスク

目次

Hause AM, Shay DK, Klein NP, Abara WE, Baggs J, Cortese MM, et al. Safety of COVID-19 Vaccination in United States Children Ages 5 to 11 Years. Pediatrics 2022;150.

V-safe、VAERS、Vaccine Safety Datalinkのデータをもとに、重度の有害事象や心筋炎のリスクを評価した。

この論文でわかったことを、ざっくりまとめると?

 ✅ V-safeに登録された5歳から11歳の小児48 795人において、報告された有害事象の大多数は軽症から中等症であり、ワクチン接種の翌日に最も多く報告され、2回目の接種後に多くみられた。

 ✅ VAERSには7578件の有害事象報告が集まったが、97%は重症ではなかった。

 ✅ VAERSに寄せられた194件の重大な報告のうち、15件の心筋炎が確認され、8件は接種2回後の男児に発生した(報告率は100万回接種あたり2.2件)。

 ✅ Vaccine Safety Datalinkでは、726 820回接種後に安全性のシグナルはなかった。

 

※この研究をもとに、ワクチンによる心筋炎の頻度は自然発生とかわらないといえると述べた総論があります(Oliver SE, Wallace M, Link-Gelles R. COVID-19 Vaccines: Safe and Effective in Children Aged 5 to 11 Years. Pediatrics 2022;150.

 

韓国:18歳以上の成人に対するワクチンが、新型コロナ感染時の心筋梗塞・脳卒中リスクを低減するという報告

Kim Y-E, Huh K, Park Y-J, Peck KR, Jung J. Association Between Vaccination and Acute Myocardial Infarction and Ischemic Stroke After COVID-19 Infection. JAMA 2022DOI: 10.1001/jama.2022.12992.

韓国における全国規模の新型コロナ感染・ワクチン接種に関する登録記録と韓国国民健康保険サービスのデータベースを使用し、新型コロナ感染後の心筋梗塞・脳卒中とワクチン接種の関連性を検討した。

この論文でわかったことを、ざっくりまとめると?

 ✅  全体的な調整リスクは,2回接種群で有意に低かった(調整ハザード比[aHR]0.42;95%CI 0.29~0.62).

 ✅ 心筋梗塞(aHR 0.48; 95%CI、0.25-0.94)・脳卒中(aHR 0.40; 95%CI 0.26-0.63)ともに、調整リスクは2回接種群で有意に低値だった。

 

論文から引用。

Risk for Cardiovascular Events by Vaccination Status

英国:新型コロナワクチンと、ギランバレー症候群・横紋筋炎・ベル麻痺のリスク

Walker JL, Schultze A, Tazare J, Tamborska A, Singh B, Donegan K, et al. Safety of COVID-19 vaccination and acute neurological events: A self-controlled case series in England using the OpenSAFELY platform. Vaccine 2022;40:4479-87.

新型コロナワクチン接種とギランバレー症候群・横紋筋炎・ベル麻痺の関連を解析するために、英国の1700万人以上の患者のプライマリケアデータを解析した。

この論文でわかったことを、ざっくりまとめると?

 ✅ ChAdOx1(アストラゼネカ)ワクチン接種7,783,441人において、ChAdOx1ワクチン初回接種後にギランバレー症候群(517人; 発生率比2.85; 95%CI 2.33-3.47)、ベル麻痺(5,350人; 1.39; 1.27-1.53) のリスクがが上昇し、ワクチン100万人にギラン・バレー症候群 11.0 例・ベル麻痺 17.9 例のリスクが増えることが示唆された(2回目接種ではリスクリスクの上昇みとめず)。

 ✅ ChAdOx1ワクチン接種と横紋筋炎との関連を示すエビデンスはなかった(199人; 1.51; 0.96-2.37)。

 ✅ BNT162b2(ファイザー)ワクチン接種者5,729,152人において、ギランバレー症候群(283人、1.09; 0.75-1.57)、横紋筋炎(109人; 1.62; 0.86-3.03)、ベル麻痺(3,609人; 0.89; 0.76-1.03)であり、関係性をしめすエビデンスはなかった。

 ✅ mRNA-1273(モデルナ)ワクチン接種者255,446人において、ベル麻痺との関連を示すエビデンスはなかった(78人; 0.88, 0.32-2.42)。

 

米国:新型コロナに対する予防接種は、MIS-C(小児多系統炎症性症候群)を減らす

Zambrano LD, Newhams MM, Olson SM, Halasa NB, Price AM, Orzel AO, et al. BNT162b2 mRNA Vaccination Against COVID-19 is Associated with Decreased Likelihood of Multisystem Inflammatory Syndrome in U.S. Children Ages 5-18 Years. Clin Infect Dis 2022DOI: 10.1093/cid/ciac637.

2021年7月1日~2022年4月7日に入院した 5~18 歳の小児の多施設調査において、MIS-C 症例と SARS-CoV-2 陰性の対照を比べて、BNT162b2(ファイザー)ワクチン2回接種の率を比較した.

※この報告はすでにブログに記事にしています。

この論文でわかったことを、ざっくりまとめると?

 ✅ MIS-Cの発症は、ワクチン未接種群により多かった。

 ✅ ワクチン接種(2回接種)により、MISーCの発症リスクは、5~11歳でaOR 0.22( 95% CI 0.10~0.52)、12-18歳でaOR 0.10(95% CI 0.05~0.19 )、デルタ株優勢時でaOR 0.06( 95% CI 0.02~0.15 )、オミクロン株優勢時でaOR 0.22(95% CI 0.11~0.42 )と低下した。

 

今日のまとめ!

 ✅ 5歳から11歳の児において、報告された有害事象の大多数は軽症から中等症であり、ワクチン接種の翌日に最も多く報告され、2回目の接種後に多くみられた。

 ✅ 心筋炎の報告率は100万回接種あたり2.2件という報告があり、頻度は自然発生とかわらないとする総論もある。

 ✅ アストラゼネカ社ワクチンが、ギランバレー症候群やベル麻痺のリスクを上げる可能性(ワクチン100万人にギランバレー症候群 11.0 例・ベル麻痺 17.9 例を増やす可能性)があるが、ファイザー・モデルナは増えないようだ。

 ✅ MIS-Cのリスクはワクチン接種で下がるようだ。

 

 

 

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