
アトピー性皮膚炎の新規全身治療薬、切り替え可能か?
■ さまざまな新規薬がアトピー性皮膚炎に使用できるようになってきています。
■ 現在、アトピー性皮膚炎の全身治療薬でもっとも注目されているのは大きく2つあり、生物学的製剤と内服JAK阻害薬です。
■ そして、JAK阻害薬にもさまざまあり、ウパダシチニブ、アブロシチニブ、バリシチニブがあります。
■ 一方、生物学的製剤「デュピルマブ」「ネモリズマブ」「トラロキヌマブ」などがります。
■ 一方の効果が不十分な場合は、もう片方にという考え方はでてきてしかるべきですが、「デュピルマブ」「トラロキヌマブ」が不十分な場合に「アブロシチニブ」に変更したという報告があります。
Keow S, Abu-Hilal M. Effectiveness of abrocitinib for the treatment of moderate-to-severe atopic dermatitis in patients switched from dupilumab and/or tralokinumab: A real-world retrospective study. J Am Acad Dermatol 2024; 91:734-5.
※短報のため、要約のみ。
中等度から重度のアトピー性皮膚炎があり、デュピルマブおよび/またはトラロキヌマブに少なくとも16週間不十分な反応を示した、もしくはデュピルマブによる有害事象を経験した25名の成人患者を対象に、アブロシチニブ100mgまたは200mgによる16週間の治療効果を検討した単一施設での後ろ向き研究を実施した。
✅️全患者の76%がEASI-75を達成した。特にアブロシチニブ200mg投与群では88%(14/16)と高い達成率を示した一方、100mg投与群では56%(5/9)を示した。
【簡単な解説】 アブロシチニブに切り替えた患者さんの76%(約4人に3人)が、湿疹の症状(スコアが75%以上)が改善した。特に高用量(200mg)の薬を使った人では88%(約9割)という高い改善率でした。低用量(100mg)でも約半数(56%)の人が改善しました。
✅️治療関連有害事象は16週間の期間中、患者の28%で発生し、その内訳はざ瘡および/または毛包炎(8%)、悪心(8%)、口顔部ヘルペス(4%)、体重増加(8%)、疲労(4%)、振戦(4%)であった。
【簡単な解説】 アブロシチニブによる副作用は、全体の28%(約4人に1人)の患者さんで見られました。主な副作用はニキビや毛穴の炎症(8%)、吐き気(8%)、口や顔のヘルペス(4%)、体重増加(8%)、疲れ(4%)、手の震え(4%)などでした。
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