保湿剤の定期塗布はアトピー性皮膚炎の再燃を抑制する: ランダム化比較試験

Wiren K, et al. Treatment with a barrier-strengthening moisturizing cream delays relapse of atopic dermatitis: a prospective and randomized controlled clinical trial. J Eur Acad Dermatol Venereol 2009; 23:1267-72.

アトピー性皮膚炎治療において、保湿剤は重要な位置を占めています。

■ 少々古い論文ですが、保湿剤の重要性を示す論文です。

 

PECO
P: 病変部にbetamethasone valerate (0.1%)(リンデロンV)を3週間塗布後、湿疹が安定したアトピー性皮膚炎患者44例
E: 保湿剤を1日2回塗布22例
C: 保湿剤非塗布22例
O: 26週までのEczema(=湿疹≒アトピー性皮膚炎)再発率

 

※ 2018/3/10 小児においても同様の結果が報告され、図もフリーで取得できるようになったため、情報を付け足しました。

 

結果

■ 湿疹再燃までの期間の中央値は、保湿剤塗布群では保湿を塗布しない群に比べ有意に延長した(180日vs30日)。

■ 26週間の観察期間中の湿疹の非再燃率は、保湿剤による治療を受けた群は68%、保湿剤非塗布群では32%だった。

論文から引用。保湿剤塗布群は再燃が少ない。

 

コメント

■ 2007年にヒルドイドソフトによるランダム化比較試験が本邦で発表されているが、残念ながら和文でした。

■ 英文論文としては、保湿剤塗布によるアトピー性皮膚炎再燃予防研究で初と思われます。

■ 保湿薬によるランダム化比較試験は思ったより少なく、本論文の価値は極めて高いでしょう。

■ このあと2017年に、小児に関する報告も同様の結果として報告されました。

小児アトピー性皮膚炎を改善させた後、保湿剤を使用すると再燃までの期間が延長する

 

 

 

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