小児アトピー性皮膚炎を改善させた後、保湿剤を使用すると再燃までの期間が延長する

Ma L, et al. Prolonging Time to Flare in Pediatric Atopic Dermatitis: A Randomized, Investigator-Blinded, Controlled, Multicenter Clinical Study of a Ceramide-Containing Moisturizer. Advances in therapy 2017:1-11.

 アトピー性皮膚炎の治療に保湿剤は必要か?

■ アトピー性皮膚炎の治療に保湿剤、、もちろん必要と考えられますが、保湿剤のエビデンスは決して多くはありません。

■ アトピー性皮膚炎を抗炎症薬(たとえばステロイド外用薬)を使用して改善した後、保湿剤を継続して塗布すると、再燃までの期間が延長します。すなわち、ステロイド外用薬を使用する期間が少なくなります。

■ ただ、この報告は成人の報告で、同じような小児の報告はあまり見かけませんでした。

■ なお、この論文はTwitterで原文抄録をご紹介した後、いいねやリツイートを多く頂いたものです。今後、Twitterでご紹介した原文での論文紹介にリツイートやいいねを多く頂いたものから、このブログで優先的に翻訳してご紹介したいと思っています。抄録のみが基本なので、こんなエラソーには言えないのですけど、、、(あ、でも、自分の興味がある論文は、いいねが少なくても備忘録でUPするかもしれませんので、ご容赦ください)。皆さんと情報共有しながら、よりよい医療が実現されることを希望しています。

 

 

2〜12歳のアトピー性皮膚炎64名に対し、保湿剤塗布あり群となし群に関し、アトピー性皮膚炎の再燃までの期間を比較した。

背景

■ 紅斑の再燃延長または予防は、アトピー性皮膚炎(AD)治療において重要である。

■ この研究の目的は、アトピー性皮膚炎に対し、ボディウォッシュに加えてセラミド含有モイスチャライザーを使用することにより、紅斑の再燃までの期間を延長させることができるかどうかを評価することであった。

 

方法

■ これは、軽症から中等症のアトピー性皮膚炎(AD)の病歴がある中国の小児に対し、ステロイド外用薬による治療を行い寛解後の1週間以内に実施された、ランダム化研究者盲検並行群間コントロール試験である。

■ 参加者は、モイスチャライザーを1日2回+ボディーウォッシュを1日1回、またはボディウォッシュのみを1日1回、12週間実施するようにランダム化された。

主要評価項目は、紅斑の再燃するまでの期間だった[再燃は、医学的治療が必要、および/またはIGA(Investigator Global Assessment)>1(少なくとも軽症AD)と定義]。

 

※管理人注;IGAはアトピー性皮膚炎の指標ではありますが、まだ標準化されているとはいえないようです。

 

■ 他の有効性評価項目は、ADの特性および皮膚保湿効果であった。

■ 患者報告による結果は12週目の満足感であり、安全性評価項目は、副反応の発生だった。

 

結果

2〜12歳の計64名の参加者をランダム化した。

紅斑再燃までの平均期間は、ボディウォッシュ単独群と比較して、モイスチャライザー/ボディウォッシュ群はほぼ2ヶ月延長した(89日間 vs 27日間)

■ 第4週時点で、モイスチャライザー塗布群を支持する結果である、紅斑に対する処置開始がより少なかった(31対59%、p = 0.022)。

■ さらに、12週時点でも紅斑の発症はより少なかった(50% vs 72%)。

論文より引用。保湿剤塗布群のほうが再燃までの期間が長い

 

■ 12週時点における紅斑のない参加者に対し、両群ともほぼ半分が明確なIGAを評価され、乾燥または刺激感の点に対する保湿効果は、モイスチャライザー/ボディウォッシュでより明確だった。

■ 両製品どちらも患者の満足度が高く、忍容性は良好であった。

 

結論

モイスチャライザーとボディーウォッシュを組み合わせた方法では、ボディーウォッシュ単独と比較して2カ月近くもAD紅斑再燃が遅延し、患者の満足度は高かった。

 

結局、何がわかった?

 ✅小児アトピー性皮膚炎に対し、抗炎症薬(ステロイド外用薬)を使用して改善した後に保湿剤を塗布すると、保湿剤を塗布していない群に比較して、再燃までの期間が約2ヶ月延長した(89日間 vs 27日間)。

 

 

小児でも、保湿剤を定期的に塗ることにより、アトピー性皮膚炎の再燃を予防できる。

■ 小児アトピー性皮膚炎に対し、「保湿剤がステロイド外用薬の使用を減らす」という報告などはあります(Grimalt R, Dermatology 2007; 214:61-7.)。

■ しかし、何故か、上に挙げたような「再燃までの期間を延長する」というスタディデザインの報告は、今のところ小児に関してはほとんどなく、少なくとも私は検索で見つけられていませんでした。

■ 今回の報告は貴重と思い、ご紹介させていただきます。

■ なお、スキンケアに関する最近のエビデンスは、以前、3回シリーズでご紹介いたしました。全部みると長いかもしれませんが、ご覧いただければ幸いです。

 

 

 

今日のまとめ!

 ✅小児アトピー性皮膚炎でも、皮膚を改善させた後に保湿剤を定期的に塗ると、再燃までの期間が延長する。