プロアクティブ治療に関するシステマティックレビューをご紹介します。
■ プロアクティブ治療は、「見える炎症」が収まってからも、間欠的に(週2回など)抗炎症薬を塗布する治療です。連日塗布し続ける治療ではありません。
E: プロアクティブ治療(ステロイド外用、タクロリムス外用の定期塗布)、全身性投与、光線療法
C: コントロール
O: Subclinical (皮下の診察上は明らかではない)な炎症を抑える治療法は、効果があるか
Tang TS, et al. Are the concepts of induction of remission and treatment of subclinical inflammation in atopic dermatitis clinically useful? J Allergy Clin Immunol 2014; 133:1615-25 e1.
結果
■ 14件のランダム化比較試験から、プロアクティブ治療のアトピー性皮膚炎寛解の初回治療の再発リスクは、フルチカゾン(本邦未発売):RR1.31 [95%信頼区間、1.02-1.68]、タクロリムス RR 1.36 [95%信頼区間 1.12-1.66]だった。
論文から引用。
■ 寛解薬剤の主剤としてステロイド外用薬を投与した患者は、カルシニュリン抑制外用薬に比べより寛解率が高かった(87.8%対79.6%、P < .001)。
■ 全身投与・光線療法に関する3件の試験は、約15%の患者において維持療法なしで長期寛解を維持することを示唆した。
プロアクティブ治療は、ステロイド外用薬を「長期連日」塗る治療ではありません。
■ プロアクティブ治療は寛解まで抗炎症薬を塗布し、その後皮下の(subclinicalな)炎症をゼロに近づけている寛解維持治療方法です。
論文から引用。プロアクティブ治療の概念図。
■ プロアクティブ治療のシステマティックレビューは2011年に一度行われています(本論文のReferenceにも記載あり)。
■ 例えば吸入ステロイド薬(ICS)の定期吸入にもメリット・デメリットがあるように、プロアクティブ治療にもデメリットがあるのは当然です。しかし、ICSにデメリットもあるとしても喘息治療にICSが不必要と思う医師は現在では少数派でしょう。
■ 筆者はプロアクティブ治療を積極的に使用をしますが、ステロイド外用薬にも副作用はあることも考慮するべきであり、プロアクティブ治療を行うならば定期的に皮膚の観察をし、スキンケア指導を適宜行うべきと考えています。
■ アトピー性皮膚炎に対するプロアクティブ治療は、その限界を知って適応をよく考える必要があると思います。