アトピー性皮膚炎は、その後の食物アレルギーのリスク?
■ 経皮感作が明らかになるにつれ、アトピー性皮膚炎は、その後の食物アレルギーのリスクになることが明らかとなってきています。
アトピー性皮膚炎を低年齢で発症し重症度が高いほど、食物アレルギー発症が多い: コホート研究
■ そのテーマで行われたシステマティックレビューをご紹介いたします。
P: 2014年11月までのMedlineとEmbaseからアトピー性皮膚炎(AD)と食物アレルギー(FA)の関連を報告した66研究 (検索条件は、食物アレルギー(FA)、食物過敏症、そして、全体もしくは特定の食品[乳、卵、ピーナッツ、ナッツ、小麦、ゴマ、シーフード]と組み合わせたアトピー性皮膚炎[AD] ) E: アトピー性皮膚炎 C: コントロール O: 食物アレルギーの原因になるか |
結果
■ population-based研究18本、ハイリスクコホート8本、残りは診断されたアトピー性皮膚炎(AD)か食物アレルギー(FA)を有する患者を対象としていた。
■ population-based研究において、アトピー性皮膚炎(AD)患者は対照と比較して、食物感作リスクがオッズ比6.18倍(95%信頼区間、2.94-12.98; P < .001)であった。
■ 他のpopulation-based研究において、最高53%のAD患者は食物に感作されており、負荷試験で最高15%FAの徴候を示した。
■ 一方、ADと診断されている患者のみを対照とした研究では最高66%が食物に感作されており、負荷試験で診断された食物アレルギー(FA)が最高81%に達した。
■ 16研究は、FAがより重篤なADと関連していることを示唆した。
■ 6研究は、より早い発症/持続するADが特にFAと関連していることを示唆した。
■ 1研究が、ADがFA発症に先行することを明らかとした。
アトピー性皮膚炎を発症すると、食物アレルギーになりやすい。
■ アトピー性皮膚炎、食物感作、食物アレルギーは強く用量依存的な関連があり、重症度が高く慢性のアトピー性皮膚炎は、特に食物アレルギーと関係していると述べられています。
■ つまり、アトピー性皮膚炎を発症すると、食物アレルギーになりやすくなることを示しており、それはアトピー性皮膚炎の重症度にも応じるということ。
■ とても重要なシステマティックレビューです。
(しかし、正式なメタアナリシスは、それぞれの研究の非均一性のため困難であるとされていましたので注意は必要です。)
■ とはいえ、現状ではアトピー性皮膚炎を予防することで食物アレルギーを直接予防できたとするランダム化比較試験も存在しません。
■ アトピー性皮膚炎を予防すればその先の食物アレルギーを予防できるかどうか、この疑問を解決するためには、ランダム化比較試験しかないでしょう。