乳幼児期のアトピー性皮膚炎は、その後の食物アレルギーを発症しやすくするか?:システマティックレビュー&メタアナリシス

アトピー性皮膚炎が食物アレルギーのリスクを高めるというメタアナリシス、最近、再レビューされました

■ アトピー性皮膚炎が、経皮感作を通して食物アレルギーを発症しやすくなることは、多くの人に知られるようになりました。

■ 以前、システマティックレビューが行われており、乳児期のアトピー性皮膚炎が、その後の食物アレルギーの発症リスクを6倍程度に上昇させることが示されています。

■ しかし、そのシステマティックレビューが行われてから7年以上が経過しています。
■ 最近のシステマティックレビューがJEADVに公開されていました。

Christensen MO, Barakji YA, Loft N, Khatib CM, Egeberg A, Thomsen SF, et al. Prevalence of and association between atopic dermatitis and food sensitivity, food allergy and challenge-proven food allergy: A systematic review and meta-analysis. Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology 2023; 37:984-1003.

PubMedおよびEMBASEから、アトピー性皮膚炎(AD)患者225,568人と対照群1,128,322人における、食物過敏症(FS)、食物アレルギー(FA)、負荷試験で証明された食物アレルギー(CPFA)患者1,357,793人と対照群1,244,596人を含む557論文を検討した。

■ アトピー性皮膚炎(AD)と食物アレルギー(FA)は、2型炎症が類似しており一般的に併発するが、FAを有するAD患者の正確な割合やその逆、またADの重症度がこの関連の強さに及ぼす影響については依然として不明である。
■ このシステマティックレビューとメタアナリシスの目的は、ADと食物過敏症(FS)、FA、負荷試験で証明された食物アレルギー(CPFA)の有病率と双方向の関連を明らかにすることである。
■ PubMedおよびEMBASEを検索し、3人の独立したレビュアーがタイトル、抄録、全文のレビューとデータ抽出を行った。
■ 全体として、557論文(AD患者225,568人、対照群1,128,322人;FS、FA、CPFA患者1,357,793人、対照群1,244,596人)が定量的解析に含まれた。
■ AD患者におけるFS、FAおよびCPFAのプールされた全有病率は、それぞれ48.4%(95%信頼区間:43.7-53.2)、32.7%(28.8-36.6)、40.7%(34.1-47.5)だった。

■ FS、FA、CPFAにおけるADの有病率は、それぞれ51.2%(46.3-56.2)、45.3%(41.4-49.3)、54.9%(47.0-62.8)だった。
■ ADの小児は成人よりもFS(49.8%(44.4-55.1))およびFA(31.4%(26.9-36.1))の有病率が高かった(成人のADではそれぞれ28.6%(13.4-46.8)、24.1%(12.1-38.7))。

■ FSとFAの有病率はADの重症度と共に増加した。

■ FS、FA、CPFAはADの一般的な併存疾患であり、密接に関連していることが示された。
■ 患者の管理と治療戦略を最適化するためには、医師はこの関係に注意を払うべきである。

 

 

※ 論文の背景とその解説・管理人の感想は、noteメンバーシップでまとめました。

 

このブログは、私の普段の勉強の備忘録やメモを記録しているものですので、細かい誤字脱字はご容赦ください。
基本的に医療者向けで、申し訳ありませんが、質問には基本的にお答えしておりません。

知識の共有を目的に公開しておりますが、追加して述べる管理人の意見はあくまでも個人としての私見です。
所属するいかなる団体の立場も代表するものではありませんし、すべての方に向いているという情報でもありません。予めご了承いただきたく存じます。

このブログの『リンク』は構いません。
しかし、文章やアイデアを盗用・剽窃・不適切な引用したり、許可なくメディア(動画を含む)に寄稿することはご遠慮ください。
クローズドな場での勉強会などに使用していただくことは構いません。
Instagram:2ヶ月で10000フォロワーを超えました!!!

Xでフォローしよう