保湿剤同士の比較試験

Danby SG, et al., A functional mechanistic study of the effect of emollients on the structure and function of the skin barrier. Br J Dermatol 2016; 175:1011-9.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27097823

 

保湿剤はなにがいいか?

今週は保湿剤に関する論文やレビューをUPDATEしています。

今回は保湿剤の比較試験ですが、保湿剤どうしの比較試験は思った以上に少ないです。以前、アトピー性皮膚炎に対する保湿剤は、保湿成分を含むほうが効果的という結果をUPしましたが、少なくとも最近の研究でそれ以外にめぼしいものがないようです(あったら教えてくいただければ助かります)。

今回提示するのは二種類の保湿剤(DiprobaseクリームとDoublebaseゲル)の比較研究になりますが、残念ながら両製品とも本邦で手に入れようとするとかなり高価なものになります。海外で4種類の保湿剤を比較するCOMET試験(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26170126)という研究が進行中のようですが、それもDiprobaseクリーム、Doublebaseゲル以外にはAveenoローション、Hydromolという、本邦ではなじみのないものが選択されています。

今回はうまく読解できているかどうか自信がないのですが、単回塗布研究と、28日の連続塗布研究が組み合わさっているといるため、研究手法をややこしく感じたためです。皮膚の研究はこのような研究がスタンダードなのかな?もし、うまく読解できていないようなら、ご指摘ください。

 

P: 18歳以上の寛解期のアトピー性皮膚炎患者 

E1: 前腕内側に4週間1日2回28日間 Doublebaseゲルを2FTU塗布 18人

E2: 同様の方法でDiprobaseクリームを塗布 19人

E3: 親水軟膏

C: 無処置

O: 最終塗布後12-20時間後の経皮的水分蒸散量(TEWL)、角質水分量、皮膚pH、発赤

 

 

 Doublebaseゲル、クリーム、浸水軟膏を比較。

 

DiprobaseクリームもDoublebaseゲルも、皮膚バリア機能を傷害しなかった。

両方の保湿剤はともに、塗布直後から、皮膚pHを有意に上昇させた(0.8±0.19と1.0±0.18単位)。

Diprobaseクリームは、一過性に(6時間)皮膚透過性を改善し( TEWL 2.9-3.1gm2 h-1)、皮膚水分量を増加させた(6.0-6.2単位)

保湿成分を含有するDoublebaseゲルは、より強く関連し(6時間に10.1~13.0単位)、角質水分量は12時間以上効果が持続した

 

DiprobaseクリームとDoublebaseゲルは共に、アトピー性皮膚炎治療に適切であるとされていたが、保湿剤の比較試験はまだ少なく、「どれがいいか」は結論できない。

 

保湿剤は、多種多様に世の中に溢れていますが、思った以上にそれぞれの比較研究は少ないです。

結果として、DiprobaseクリームとDoublebaseゲルはバリア障害は来さず、アトピー性皮膚炎治療に適切であるとまとめられます。

ただし、いずれの製剤も持続的に皮膚バリア機能そのものを改善するにはいたらず(自分自身のバリア機能自体をよくするという意味で保湿剤自体にバリア機能を補強する効果がないわけではありません)、継続塗布が必要になるようです。 

親水軟膏は、皮膚バリアに障害を来す可能性が示唆されており、この研究の比較対照とされていました。

この二つの保湿剤が選ばれた理由は、保湿剤予防研究(BEEPスタディhttp://www.nottingham.ac.uk/research/groups/cebd/projects/1eczema/beep-maintrial.aspx)で、参加者の67.2%がDoublebaseゲルまたはCetaphilクリームを選択し、使用感からDoublebaseゲルとDiprobaseクリームを好むと回答したことからだそうです。英国ではDoublebaseゲルとDiprobaseクリームは、それぞれ16%と15%を占める最も処方された保湿剤でもあるそうです。

このようなpreliminaryな研究でも、皮膚科臨床のトップジャーナルの一つであるBJDに採択されるというのは、保湿剤の比較研究自体が決して多くないことに起因していると言えるでしょう。

AmazonでみてみるとDoublebaseはやたら高価でしたので、Cetaphilクリームを参考に下にリンクしますが、Cetaphilクリームはコストコで購入したほうが安いです。

なお、TEWLはAquaFlux AF200、皮膚の発赤はMexameter MX18、pHはSkin Surface pH Meter PH905、静電容量はCorneometer CM825という器械が使われていました。皮膚の発赤もセンサーで客観的に調べることができるというのはすごいですね。

 

 

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