細気管支炎に対し、有効な治療法がないか?
■ 細気管支炎に関しては、いろいろな研究結果があるものの、これはという治療がありません。
■ 昨日、鼻カニューレで高流量の酸素を使うという前後比較研究をご紹介しました。
■ そして、最近のLancetに、高流量の加湿酸素による治療のランダム化比較試験が発表されていました。
■ ほぼabstractのみですが、きれいな結果なので問題ないでしょう。
E: 高流量加湿酸素(空気:酸素1:1; <20L/分; <1L/kg/分→結果として≦FiO2 0.6) 101人
C: 標準治療(鼻カニューレによる加湿していない低流量100%酸素<2L/分) 101人
O: 酸素投与時間
結局、何を知りたい?
✅ 高流量加湿酸素が、小児の細気管支炎の治療に有効かどうかということを知ろうとしている。
結果
■ 酸素離脱までの時間の中央値は、高流量加湿酸素群20時間(95%CI 17-34)、標準治療群24時間(95%CI 18-28)であり有意差はなかった(ハザード比 0.9[95%CI 0.7-1.2];logrank p=0.61)。
■ 高流量加湿酸素群(14人[14%])は、標準治療群(33人[33%])と比較して、治療失敗が少なかった( p=0.0016)。
■ 高流量加湿酸素群では、治療失敗までの時間が、標準治療群より有意に長かった(HR 0.3; 95%CI 0.2-0.6; p<0・0001)。
■ 標準治療で治療失敗した33人のうちの20人(61%)は、高流量加湿酸素群でレスキューされた。
■ 集中治療室へ移動することが必要になった児は、標準治療群12人(12%)、高流量加湿酸素群14人(14%)であり有意差はなかった(差-1%; 95%CI -7~16; p=0.41)。
■ 不都合なイベントが4例発生した(高流量加湿酸素群で酸素不飽和と液化吸入、標準治療群で酸素管断線2例)が、試験中止にならなかった。
■ 酸素関連の重大な不都合なイベントは、発生しなかった。
結局、何がわかった?
✅細気管支炎で入院した2歳未満児に対し、高流量の加湿された酸素投与は、加湿していない酸素のカニューレ投与に比べ、酸素吸入時間は変わらないが、治療失敗が少なかった。
コメント
■ 高流量加湿酸素は標準治療と比較して酸素の投与時間を有意に減らさなかったとまとめられます。
■ さらに、高流量加湿酸素の早期使用は、中等症の細気管支炎のプロセスを改善しないことが示唆されるとされていました。
■ しかし、高流量加湿酸素は、集中治療を必要する児を低下させるレスキュー療法としての役割があるかもしれないとされていました。
今日のまとめ!
✅乳幼児の細気管支炎の治療として、加湿された高流量酸素は酸素吸入時間を短縮はしないが、集中治療を行うまでのつなぎとして使えるかもしれない。