Chrostowska-Plak D, et al. Relationship between itch and psychological status of patients with atopic dermatitis. J Eur Acad Dermatol Venereol 2013; 27:e239-42.
アトピー性皮膚炎のかゆみは、つらい症状のひとつ。
■ アトピー性皮膚炎のかゆみは、生活の質を落とします。
■ そこで、かゆみと、生活の質・抑うつ症状を比較した研究をご紹介いたします。
成人のアトピー性皮膚炎89人における、かゆみとストレス・生活の質・抑うつとの関係を評価した。
背景
■ かゆみは、アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)の主症状である。
目的
■ 調査目的は、成人のアトピー性皮膚炎(AD)患者におけるかゆみとストレス、健康関連の生活の質(health‐related quality of life ; HRQoL)と抑うつとの関係を評価することだった。
方法
■ アトピー性皮膚炎(AD)患者89人(男性30人、女性59人)が含まれ、人口統計および臨床データが収集された。
■ かゆみの強さは、10点満点のビジュアルアナログスケール(Visual Analogue Scale; VAS)、4項目かゆみアンケート(4‐Item Itch Questionnaire)、皮膚の生活の質指数(Dermatology Life Quality Index)に基づくHRQoL、Beckの抑うつインベントリ(Beck’s Depression Inventory;BDI)による抑うつ症状に従って評価した。
■ 患者が経験したストレスは、社会再調整評価尺度(Social Readjustment Rating Scale)とストレス自己評価尺度(Stress Self‐assessment Scale)で評価した。
結果
■ VASによるかゆみの平均強度は7.9±2.2ポイントであり、4項目のかゆみアンケートによれば14.0±4.4ポイントであった。
■ かゆみの強さは、病状の増悪前に患者が経験したストレスに関連していた(ρ= 0.37、P <0.001)。
■ かゆみとHRQoLには有意な相関が見られ(VAS:ρ= 0.5、P <0.001、4項目かゆみアンケート:ρ= 0.5、P <0.001)、かゆみとBDIも同様だった(VAS:ρ=0.5(P < 0.001)、4項目かゆみアンケート:ρ=0.5(P < 0.001)。
■ 抑うつを示唆する症状のある患者は、他の患者と比較してより強いかゆみがあった(VAS:9.1±1.6 vs 7.6±2.2点、P = 0.004; 4項目かゆみアンケート:17.3±2.5 vs 13.1±4.4点、P < 0.001)。
結論
■ アトピー性皮膚炎のかゆみの強さは、患者の心理社会的幸福を決定する上で重要な役割を果たす。
■ アトピー性皮膚炎は、QoLを改善し、抑うつの潜在的なリスクを軽減するための、効果的で長期間のかゆみを軽減する治療が必要である。
結局、何がわかった?
✅アトピー性皮膚炎のかゆみは、事前に感じたストレスに相関する。
✅かゆみと生活の質・抑うつは相関する。
かゆみを減らすためには、結局はスキンケアや薬物療法により、皮膚の改善を目指すのが先決でしょう。
■ アトピー性皮膚炎のかゆみは、睡眠障害も起こします。
■ アトピー性皮膚炎は、その定義からも「かゆみ」は必発です。皮膚加療をを早期に行い、改善を目標にすべきでしょう。
今日のまとめ!
✅アトピー性皮膚炎のかゆみは、生活の質・抑うつに相関する。