中等症以上のアトピー性皮膚炎があると、中途覚醒が多い

アトピー性皮膚炎のかゆみは、生活の質を低下させる。

■ かゆみは、QOL(生活の質)を大きく下げることは皆さんもよくご存じのとおりです。

■ 小児のアトピー性皮膚炎においても同様で、夜間の睡眠障害は多くのアトピー性皮膚炎の指標に取り入れられています。すなわち、直接重症度に関連します。

PO-SCORAD(患者自身がつけるアトピー性皮膚炎重症度)はSCORADよりQOLを反映する

 

Fishbein AB, et al. Sleep disturbance in children with moderate/severe atopic dermatitis: A case-control study. Journal of the American Academy of Dermatology 2017.[Epub ahead of print]

6歳から17歳の中等症以上のアトピー性皮膚炎患児と対照群の睡眠を比較した。

背景

■ アトピー性皮膚炎(AD)のある小児の60%に睡眠障害が認められる。

 

目的

■ 中等症〜重症ADのある小児における睡眠を特徴づけ、睡眠障害の評価方法を決定する。

 

方法

■ 6歳から17歳の中等症〜重症ADと、年齢および性別を一致させた健常対照群と症例対照研究で実施した。

■ 参加者はactigraphy(運動計)を着用し、睡眠・疾患に関するアンケートを完了した。

 

結果

■ AD患者群19人および対照群19人が試験を完了した。

AD群は、中途覚醒(wake after sleep onset; WASO)が103±55分であり、対照群では50±27分だった(P <.01)

■ AD群は、落ちつかない睡眠、昼間の眠気、夜間の睡眠不足、教師が報告する昼間の眠気の頻度が有意に多かった

重症度は、よくWASOと相関した(総SCORing Atopic Dermatitis:r = 0.61(P < .01);objective SCORing Atopic Dermatitis:r = 0.58(P = .01); Eczema AreaとSeverity Index:r = 0.68、P < .01)。

 

Limitation

■ 研究集団は小さかった。

 

結論

■ 中等症〜重症ADのある小児は、健常対照群よりもWASOが長い。

■ ADのある児の睡眠効率は低いが、就寝時刻と起床時刻、睡眠時間、睡眠開始潜時は同様だった。

 

 

結局、何がわかった?

 ✅中等症〜重症ADのある小児は、健常対照群よりも中途覚醒が有意に長い。

 

 

アトピー性皮膚炎のかゆみは、生活の質に直結する。

■ アトピー性皮膚炎の痒みに関して、周りの保護者さんもそうでしょうけど、なにより本人が辛いでしょう。そして、生活の質に直結します。

■ 更に、2014年のシステマティックレビューでは、乳児期の湿疹とADHDに正の相関があると報告し(オッズ比 1.47-7.75)、「湿疹とADHDの間の正の関連がある」と述べられています(Allergy 2014: 69: 37–45.)。

■ さらに大規模にしらべた研究では、その関連が低くなっていますが、その考察では「重症度が軽かったから」とされており、中等症以上のアトピー性皮膚炎は短期的な睡眠障害のみならず、他の神経的な疾患にすら影響する可能性が指摘されています。

乳児期のアトピー性皮膚炎と学童期の注意欠如・多動症(AD/HD)は関連しない: コホート研究

■ 早期の治療と、重症度を下げる介入は必要と思います。

 

 

今日のまとめ!

 ✅中等症以上のアトピー性皮膚炎は、睡眠と生活の質を障害する。

 

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