小児アトピー性皮膚炎のかゆみと生活の質。
■ 昨日は、成人のアトピー性皮膚炎と生活の質を検討した報告をご紹介いたしました。
■ 今回は、少し古い報告ですが、小児アトピー性皮膚炎のかゆみと生活の質の検討です。
Weisshaar E, et al. Itch intensity evaluated in the German Atopic Dermatitis Intervention Study (GADIS): correlations with quality of life, coping behaviour and SCORAD severity in 823 children. Acta dermato-venereologica 2008; 88(3): 234-9.
小児および思春期の青年823人に関し、アトピー性皮膚炎のかゆみの重症度が、小児および両親の生活の質と相関するかを検討した。
背景
■ ドイツの小児および思春期の青年823人に対するアトピー性皮膚炎介入研究(German Atopic Dermatitis Intervention Study; GADIS)は、年齢ごとの教育プログラムがアトピー性皮膚炎の長期管理に有効であることを示した。
方法
■ アトピー性皮膚炎スコア(scoring of atopic dermatitis; SCORAD)で得られたかゆみの重症度が、小児および両親の生活の質および対処行動と相関するかどうかを調査した。
結果
■ アトピー性皮膚炎の重症度とかゆみの強さには、低いが有意な相関があった。
■ かゆみと不眠は有意に相関した。
■ アトピー性皮膚炎の小児の両親は、かゆみと対処行動/生活の質と有意な相関があった。
■ 小児(8-12歳)/青年(13-18歳)の対処/かゆみ行動は、親の回答よりもかゆみと有意な相関があった。
■ 小児(8-12歳)/青年(13-18歳)の生活の質は、かゆみの強さと有意な負の相関を示した。
結論
■ アトピー性皮膚炎治療に対し、生活の質、かゆみの強さ、対処方法を考慮する必要がある。
結局、何がわかった?
✅小児アトピー性皮膚炎の重症度とかゆみの強さには、低いが有意な相関がある。
✅アトピー性皮膚炎をもつ子どもを持つ両親も、アトピー性皮膚炎の重症度と、かゆみへの対処行動/生活の質とに有意な相関があった。
小児アトピー性皮膚炎のかゆみは、本人だけでなく家族の生活の質も下げる。
■ 成人のアトピー性皮膚炎が、患者さん自身の生活の質をさげるのは、確かでしょう。
■ 小児の場合は、家族の生活の質も下げる可能性があり、その重症度に関連すると言うことになります。
今日のまとめ!
✅小児期のアトピー性皮膚炎のかゆみは、本人のみならず家族の生活の質を下げる。