
Rossor T, et al. Detection of gastro‐oesophageal reflux in the neonatal unit. Acta Paediatrica 2018. [Epub ahead of print]
胃食道逆流は、新生児期によくみられる病態です。
■ 胃食道逆流は、新生児期にはよく診られる疾患です。
■ 一方で、胃食道逆流に対する制酸剤は、アレルギー疾患を増やすかもしれないという報告があり、アレルギー屋としては、どれくらいの頻度であるのかが気になり始めました。
乳児期の制酸剤や抗生剤の使用は、アレルギー疾患の発症リスクになるかもしれない
■ そこで、新生児期の胃食道逆流がどれくらいあるかを検討した前向き研究結果をご紹介いたします。
胃食道逆流が疑われた新生児44人に対し、pHモニタリングもしくはマルチチャネル管腔内インピーダンスにより胃食道逆流があるかを精査した。
目的
■ pHプローブまたはマルチチャネル管腔内インピーダンス(multichannel intraluminal impedance ; MII)が胃食道逆流をより頻繁に検出したかどうかを判定し、酸逆流がインピーダンス低値と関連しているという仮説を調査する。
方法
■ 逆流が疑われ、pHとMIIを組み合わせて評価した乳児における前向き研究。
■ この研究では、酸指数が> 10%であった場合または、24時間に> 79MIIの逆流現象があった場合、異常とみなされた。
■ 酸指数はpHが4未満、酸クリアランス時間(acid clearance time; ACT)はpHが4未満に下がってから4を上回るまでの総時間率と定義された。
結果
■ 新生児44人(妊娠週数の中央値31週[23〜42]]を評価した。
■ 検査結果が異常と判定された新生児は9人(21%)であり、pHモニタリングで7人、MIIモニタリングで1人、両方で1人だった(p = 0.04)。
■ 在胎週数および出生後週数を補正後も、試験開始時のインピーダンスは、酸指数(r = -0.34、p = 0.038)および最大ACT(r = -0.44、p = 0.006)と負の相関が維持された。
結論
■ 胃食道逆流の臨床的な疑いは頻繁に間違っていた。そして、逆流はpHプローブによってより多く検出された。
■ 試験開始時における酸逆流とインピーダンスとの逆相関は、粘膜障害がこの母集団における酸逆流に起因する可能性があることを示唆している。
結局、何がわかった?
✅胃食道逆流が疑われた新生児44人のうち、精査で陽性であったのは9人(21%)であり、pHモニタリングの有用性が高かった。
胃食道逆流の精査は、決して簡単ではありません。
■ ここで早合点してはいけないのは、新生児に対するpHモニタリングは決して簡単ではないことです。胃食道逆流を疑った新生児に対し、制酸剤を使用するのはある程度致し方ないと思います。
■ 一方で、漫然と長期投与にならないように気をつけていきたいものです。
今日のまとめ!
✅新生児期に疑われた胃食道逆流のうち、精査で陽性であるのは2割程度であり、制酸剤投与は漫然と継続しないように気をつけていきたい。