健常新生児における最初の沐浴のタイミングは？

新生児の初めての沐浴は、早いほうが良い？遅い方が良い？

■ 新生児の沐浴は、科学的なエビデンスよりも文化的な背景に基づいていることが多いとされています。
■ 様々な沐浴方法がありますが、新生児の初めての沐浴は出生後24時間以上経ってからにすることが世界保健機関（WHO）も推奨しています。

■ そのほうが、赤ちゃんの体温や血糖値を安定させ、母乳育児の成功につながるとされており、早すぎる沐浴は、赤ちゃんの体に負担をかける原因になるとされています。

■ ただ、このテーマのエビデンスは限られていました。
■ そこで、最近発表されたシステマティックレビューの結果を共有します。

Priyadarshi M, Balachander B, Gupta S, Sankar MJ: Timing of first bath in term healthy newborns: A systematic review. Journal of global health. 2022, 12:12004. 10.

正期産または正期産に近い健常新生児に対し、新生児の初めての沐浴を出生後24時間以上遅らせることを検討した16研究（計39020人）のメタアナリシスを実施した。

背景

■ このシステマティックレビューは、出生後24時間以内に沐浴を行う場合と比較して、出生後24時間以上最初の沐浴を遅らせることの効果を正期産の健常新生児を対象に評価した。

方法

■ MEDLINE、Cochrane CENTRAL、Embase、CINAHLのPubMedによる検索（2021年11月まで更新）、臨床試験データベース、検索された論文の参考文献リストを用いた。
■ 主要アウトカムは、新生児死亡率、全身感染症、低体温症、低血糖症、母乳育児（EBF）率である。
■ 2名の著者がバイアスリスクを別々に評価し、データを抽出し、相対リスク（RR）またはオッズ比（OR）を用いて効果推定値を統合した。
■ エビデンスの確実性の評価にはGRADEアプローチを用いた。

結果

■ 16研究（臨床試験2件と観察研究14件）において、計39020人の正期産または正期産に近い健常新生児を対象にした。

■ 遅い沐浴開始と早い沐浴開始の定義は研究によって異なり、最も一般的な定義はそれぞれ24時間以上（6研究）と6時間以下（12研究）だった。

■ 早期沐浴を6時間以下と定義した研究については、事後解析を行った。
■ 出生後24時間以内の沐浴と比較して、乳児死亡（OR 0.46、95％信頼区間（CI） 0.28～0.77、1件の研究、789人）および新生児低体温症（OR 0.50、95％CI 0.28～0.88、1件の研究、660人）のリスクが低下する可能性が示唆された（確実性の低いエビデンス）。

■ 退院時の母乳育児（EBF）への影響に関するエビデンスは非常に不確実であった。
■ 出生後6時間以上（9時間、12時間、24時間以降）の遅い沐浴開始は、6時間以内の沐浴と比較して、低体温症（OR 0.47、95％CI = 0.36-0.61；4件の研究、2711人の新生児）、低血糖症（OR 0. 39、95％CI 0.23-0.66、3件の研究、2775人の新生児）のリスクを減少させ、退院時のEBFの発生率を改善する（OR 1.12、95％CI 1.08-1.16、6件の研究、6768人の新生児）可能性があるが、新生児死亡率への影響のエビデンスは非常に不確実であった。

結論

■ 初回沐浴を少なくとも24時間遅らせることにより、新生児の死亡率と低体温症が減少する可能性がある。
■ 少なくとも6時間の沐浴遅延は、低体温症と低血糖症を予防し、退院時のEBF率を改善する可能性がある。
■ しかし、これらの結論のほとんどは確実性の低いエビデンスによって制限されている。

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