レボセチリジン(ザイザル)は、乳幼児期で汎用されるようになりましたが、その長期連用の安全性を確認した報告をご紹介します。
■ レボセチリジン(ザイザル)は生後6ヶ月から使用できる抗ヒスタミン薬であり、脳内移行性が少ない(副作用が少ない)ために、汎用されるようになってきています。
■ 上気道炎に使うというプラクティスが正しいかどうかは別の問題ですが、すくなくとも、この年齢のお子さんに対して脳内移行性の強いペリアクチンやポララミンの処方は問題点が多いと言えましょう。
■ 実際、最近の米国では、乳幼児に対する抗ヒスタミン薬の使用は大きく減ってきているという結果が、最近のJAMAに報告されています。
Trends in Prescription Medication Use Among Children and Adolescents—United States, 1999-2014
■ それはさておき、汎用されるようになった乳幼児に対するザイザルは、長期処方での問題はないでしょうか?18ヶ月間のランダム化比較試験がありましたのでご紹介いたします。
Simons FE. Safety of levocetirizine treatment in young atopic children: An 18-month study. Pediatric allergy and immunology : official publication of the European Society of Pediatric Allergy and Immunology 2007; 18(6): 535-42.
生後12〜24ヶ月の小児510人に対し、レボセチリジンまたはプラセボ群にランダム化し18ヶ月間投与し、安全性を評価した。
背景
■ 世界中には利用可能なH1-ヒスタミン拮抗薬は40種類以上ある。
■ これらの薬剤に関し、小児における前向きランダム化二重盲検プラセボ対照試験で最適化された研究はほとんどない。
目的
■ この研究の目的は、乳幼児期のアトピー性小児に対するレボセチジンの安全性に関し、長期的な検討を行うことだった。
方法
■ アトピー性小児研究におけるランダム化二重盲検試験である、Early Prevention of Asthma in Atopic Children Studyにおいて、介入開始時に生後12〜24ヶ月のアレルギー体質の小児510人に対し、レボセチリジン群 0.125mg / kgまたはプラセボ群にランダム化されたうえで、1日2回18ヶ月間投与された。
■ 安全性は、有害事象、有害事象のために試験を中止した小児の数、身長/体重測定、発達マイルストーンの評価、血液/生化学検査が評価された。
結果
■ レボセチリジン群255人、プラセボ群255人の安全性が評価された。
■ 治療群/プラセボ群は統計的に類似しており、1種類以上の有害事象(レボセチリジン 96.9%、プラセボ 95.7%)、重篤な有害事象(レボセチリジン 12.2%、プラセボ 14.5%)、投薬に起因する有害事象(レボセチリジン 5.1%、プラセボ 6.3%)、研究薬物の永続的な中断につながった有害事象(レボセチジン 2.0%、プラセボ 1.2%)も、同様だった。
■ 最も頻繁な有害事象は、上気道感染、一過性の胃腸症状、アレルギー疾患の悪化に関連していた。
■ 身長、体重、発達のマイルストーン、血液/生化学検査に関し、二群間に有意差はなかった。
結論
■ 乳幼児期のアトピー性小児において、レボセチリジンの長期間の安全性が確認された。
結局、何がわかった?
✅生後12〜24ヶ月の小児510人に対し、レボセチリジンまたはプラセボ群にランダム化し18ヶ月間投与したが、有害事象、身長、体重、発達のマイルストーン、血液/生化学検査において二群間に有意差はなかった。
ザイザルの長期投与において、プラセボと有害事象に有意差はないようだ。
■ 抗ヒスタミン薬に関し、低年齢化しているアレルギー性鼻炎に対しザイザルを長期投与する場合もあると思われます。その際にもしご家族から心配とご質問があれば提供できるデータと思われます。
■ また、最近、デザレックスと比較して、ザイザルの方が慢性じんましんに有効かもしれないという報告もあります。
■ ビラノアといった新規薬剤も、低年齢には適応もありません。
■ もちろん、長期投与せずにすむように環境整備などをすすめる必要性もあるでしょう。
今日のまとめ!
✅生後12~23ヶ月の乳幼児に対するザイザルの18ヶ月投与は、プラセボと有害事象に差はないようだ。