Chang Y-S, et al. Melatonin supplementation for children with atopic dermatitis and sleep disturbance: a randomized clinical trial. JAMA pediatrics 2016; 170:35-42.
アトピー性皮膚炎は睡眠障害を起こします。
■ アトピー性皮膚炎は、かゆみにより睡眠障害を起こし得ます。
■ メラトニンは生物学的な機能における概日リズムによる同調を行っているそうです(Wikipedia)。本邦ではサプリメントとしてはありませんが、海外ではサプリメントとして市販されているようです。
アトピー性皮膚炎患児48人に対し、メラトニンの内服が睡眠障害や重症度を改善するかどうか、メラトニンサプリメントの有効性を評価した。
重要性
■ アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis ; AD)のある児では睡眠障害は一般的であるが、この問題に対する効果的な臨床管理法は不足している。
■ そして、夜間のメラトニンレベルの低下は、AD患児の睡眠障害と関連し病気の重症度を増加させることが判明している。
■ メラトニンはまた、睡眠を誘導し、抗炎症作用を有する。したがって、ADの治療に有用であり得る。
目的
■ AD患児の睡眠障害および疾患の重症度を改善するためのメラトニンサプリメントの有効性を評価する。
試験デザイン、セッティング、参加者
■ このランダム化臨床試験では、二重盲検プラセボ対照クロスオーバーデザインを使用し、1〜18歳の全身体表面積の少なくとも5%の病変がある医師により診断されたAD児および青年73人でを対象とした。
■ この研究は、2012年8月1日から2013年1月31日まで、台湾の大規模な第三次病院の小児科で行われた。
■ 48人がメラトニンまたはプラセボ治療に1:1でランダム化され、38人(79% )がクロスオーバー試験期間を完了した。
■ 2013年4月13日に最終的なフォローアップが実施され、2014年1月27日から4月25日までのデータが分析され、分析はintention to treatに基づいた。
介入
■ メラトニンを1日3mgまたはプラセボを4週間投与した後、2週間のウォッシュアウト期間をはさみ、次いでクロスオーバーさせ介入を4週間行った。
主な結果と計測
■ プライマリアウトカムは、Scoring Atopic Dermatitis(SCORAD)指数を用いて評価されたADの重症度であり、SCORADは0〜103であり、スコアが高いほど悪化した症状を示唆した。
■ セカンダリアウトカムには、アクチグラフィで測定された睡眠変数、睡眠や皮膚炎に対する主観的変化、睡眠ポリグラフで測定された睡眠変数、夜間尿中尿中6-スルファトキシメラトニン値、血清IgE値が含まれた。
結果
■ この研究に含まれた48人のメラトニン治療後のSCORADは、平均49.1±24.3→40.2±20.9まで改善し、プラセボ群と比較して9.1(95%CI -13.7〜-4.6、P <0.001)減少した。
■ さらに、睡眠開始までの待機時間は、プラセボ後と比較してメラトニン治療後に21.4分短縮された(95%CI、-38.6〜-4.2; P = .02)。
■ SCORADの改善は、睡眠開始までの待機時間の変化と有意に相関しなかった(r = -0.04; P = .85)。
■ 有害事象のために離脱した患者はおらず、有害事象はこの試験を通して報告されなかった。
結論と妥当性
■ メラトニンサプリメントは、AD児の睡眠開始までの待機時間および疾患重症度を改善するために安全かつ有効な方法である。
結局、何がわかった?
✅1〜18歳のアトピー性皮膚炎患児に対し、メラトニンサプリメントを内服すると、プラセボ群に比較して、SCORAD(アトピー性皮膚炎重症度)が、プラセボ群より9.1改善した。
✅睡眠までの時間が、プラセボに比較しして21.4分短縮した。
メラトニンは、アトピー性皮膚炎の重症度と睡眠を改善するようだ。
■ 残念ながら、本邦ではメラトニンはサプリメントとして処方はされていません。一方で、メラトニン受容体アゴニストとして、ラメルテオン(商品名ロゼレム)が承認されています。
■ 小児で使える薬ではありませんし、あくまで不眠症の薬ですので、私は使用経験はありません。
今日のまとめ!
✅概日リズムに関連するメラトニンは、アトピー性皮膚炎の症状を改善し、睡眠導入も助けるようだが、本邦ではサプリメントとしては入手困難である。