乳児期のRSウイルス罹患時、鼻腔にラクトバチルス(乳酸菌)が多いと喘鳴発症が少なくなる

Rosas-Salazar C, et al. Nasopharyngeal Lactobacillus is associated with a reduced risk of childhood wheezing illnesses following acute respiratory syncytial virus infection in infancy. J Allergy Clin Immunol 2018.[Epub ahead of print]

RSウイルス感染は、その後の喘鳴のリスクになります。

■ 例えば、RSウイルスが原因になることが多い細気管支炎は、その後の喘息発症リスクになることが報告されています。

重症細気管支炎は5歳までの喘息発症リスクになる: 出生コホート研究

■ では、RSウイルスによる急性呼吸器感染症から、喘鳴へ繋がらないための要因はどんなものがあるでしょう?

 

乳児期のRSウイルスによる急性呼吸器感染症に罹患した118人がその後2年間で喘鳴を発症するリスクに関し、鼻咽頭の細菌叢との関連を調査した。

背景

RSウイルス(respiratory syncytial virus;RSV)を伴う乳児期早期急性呼吸器感染症(acute respiratory infection; ARI)は小児期の喘鳴疾患の発症と強く関連しているが、この関連の基礎となる経路はほとんどわかっていない。

 

目的

■ 乳幼児期ののRSVによるARIに続発する小児期の喘鳴疾患の発症に対し、鼻咽頭微生物の役割を調査する。

 

方法

■ 私たちは、RT-PCRを用いてRSVによるARIを確認することができた、それまでは健康であった118人乳児に対するネスト化コホート研究を行った。

■ RSVによるARIにおける鼻咽頭微生物を特徴付けるため、16S rRNA遺伝子のV4領域を、次世代塩基配列決定法を使用して確認した。

主要アウトカムは、2年後の喘鳴であった。

 

結果

■ 乳児118人のうちの113人(95.8%)が2年間の転帰データを有していた。

■ これらのうち、46人(40.7%)は、親の報告に基づくその後の喘鳴が報告された。

■ RSVによるARIに罹患中の鼻咽頭微生物において、全体的な分類学的組成・多様性・量は、その後の喘鳴の発症と関連がなかった

■ しかしながら、喘鳴を発症しなかった乳幼児においては、鼻咽頭におけるラクトバチルスの検出と量の豊富さが一貫して高かった

■ ラクトバチルスはまた、その後の喘鳴の有無にかかわらず、(喘鳴を発症しない)乳幼児を区別するモデルにおいて、さまざまな属の中で第1位にランクされた。

 

結論

■ 乳幼児期のRSVによるARI中の鼻咽頭でのラクトバチルスの検出および量が多いと、2歳時の小児期喘鳴のリスク低下と関連していた。

 

結局、何がわかった?

 ✅RSウイルスによる急性呼吸器感染症に罹患した乳児で、その後2年間喘鳴を発症なかった乳児は、鼻咽頭にラクトバチルス(乳酸菌の一種)を多く保菌していた。

 

 

RSウイルス感染時の鼻咽頭の細菌叢が、その後の喘鳴に関連するという報告。

■ この結果をどう読むかは難しいところですが、すでに乳児期の抗生剤使用がその後の喘鳴リスクになることは報告されています。

小児期早期の抗生剤使用は喘息発症リスクを上げるかもしれない:メタアナリシス

乳児期の制酸剤や抗生剤の使用は、アレルギー疾患の発症リスクになるかもしれない

■ 抗生剤の使用が、乳酸菌を減らしてしまうからかもしれません。

 

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今日のまとめ!

 ✅RSウイルス罹患時の鼻咽頭のラクトバチルス(乳酸菌)は、喘息発症を防ぐかもしれない。

 

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