以下、論文紹介と解説です。
Chen K-W, et al. Ragweed pollen allergy: burden, characteristics, and management of an imported allergen source in Europe. International archives of allergy and immunology 2018; 176:163-80.
ブタクサに関するレビューを行った。
■ ブタクサ(Ambrosia artemisiifolia)は、一般的には”短いブタクサ”として知られている北米原産の一年生の草本植物である。
■ ブタクサは現在、世界中の多くの地域で見られる。
論文から引用。ブタクサの外観。
■ ブタクサ花粉は夏の終りから秋にかけてI型アレルギー反応を引き起こす可能性が高いことで知られており、米国および欧州の国で大きな健康問題となっている。
■ 気候変動と都市化、長距離輸送能力はブタクサ花粉の拡散を促進している。
■ そのため、ブタクサは植生のなかった地域でも自生するようになり感作率が増加している。
■ これまでに11種類のブタクサのアレルゲンが報告されており、IgEの反応性からAmb a1とAmb a11が主要なアレルゲンであると考えられている。
■ その他のアレルゲンの感作率は10~50%である。
論文から引用。ブタクサアレルゲンの分類。
■ 多くのアレルゲンは既にリコンビナント的に生成されているが、それらの大部分はアレルゲン性を特徴付けられていないため、すべてのアレルゲンの臨床的関連性に関する結論を出すことはできない。
■ これは正確な診断に重要かつ必要である。
■ 薬物療法はブタクサ花粉症の最も一般的な治療法であるが、アレルギーの経過には影響しない。
■ アレルゲン特異的免疫療法(Allergen-specific immunotherapy;AIT)は、長期間持続する効果のある、アレルギーの唯一の原因/疾患修飾治療であるが、現在はブタクサ花粉抽出物やAmb a1のみの投与に基づいている。
■ ブタクサ花粉に対するAITを改善するためには、より高い有効性と安全性を有する新しい戦略が必要である。
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ブタクサに関しては現状では免疫療法も困難ですが、今後可能になることを期待したいところです。
■ ブタクサに関しては、現状では舌下免疫療法の対象にはなっていません。
■ スギ・ダニに対してでさえ、ようやく保険適応と普及が進み始めた現状で、はたしてブタクサやイネ科花粉まで開発が進むのかは、スギ・ダニの免疫療法の普及にも罹っているように思います。
今日のまとめ!
✅ ブタクサ花粉はきわめて一般的な花粉症の原因となる吸入抗原であるが、まだ十分な検討や治療法があるとはいえない。