以下、論文紹介と解説です。

Rondon C, et al. Local allergic rhinitis is an independent rhinitis phenotype: the results of a 10‐year follow‐up study. Allergy 2018; 73:470-8.

Local allergic rhinitis(LAR)の176人を、対照と比較した自然歴に関し、10年間フォローして比較した。

背景

Local allergic rhinitis(LAR)の自然歴に関する知識は限られている。

■ LARをアレルギー性鼻炎(allergic rhinitis; AR)発症の第一段階と考えるべきか、それとも独立したフェノタイプと考えるべきかについては、いまだ明らかにされていない。

■ 本研究の目的は、LARのある集団の自然歴、アレルギー体質のるARにかわる可能性、その後10年間の喘息の発症を前向きに評価することだった。

 

方法

■ この研究は、2005年~2016年までに最近発症したLAR 176人と年齢と性をマッチさせた健常対照者115人を前向きに評価した10年間のフォローアップ研究の第二フェーズである。

■ Dermatophagoides pteronyssinus、Alternaria alternata、Olea europaeaおよびイネ科花粉による鼻アレルゲン誘発試験(Nasal allergen provocation tests; NAPT)を、試験開始時と5年後、10年後に実施した。

 

結果

■ 10年後、LAR患者は、緊急受診の増加、喘息発症、アレルゲンに対する耐性喪失、QOLの障害を伴う、鼻炎と有意で臨床的に関連した悪化を経験した。

■ この悪化は5年後に有意になり、10年にわたって進行した。

■ しかし、アレルギー体質を伴うARの発症率は、患者と対照で同等だった(9.7% vs 7.8%,log‐rank P=.623)

■ 5人(3%)において、10年以上の経過でアレルギー体質へ変わっていた。

 

結論

■ LARは、アレルギー体質への変わる率は低いものの、漸進的に増悪する可能性があり、喘息に罹患する危険因子を持つ、はっきり分類可能な臨床的な疾患である。

 

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LARは、まだまだよくわかっていないと言えますが、、、

■ 現実的には鼻誘発テストはかんたんな検査ではないため、多くは『本態性鼻炎』や『血管運動性鼻炎』などの病名がついている可能性があります。

■ まだまだ病態や予後がはっきりしているとはいえないので、今後の検討を見守っていきたいところです。

 

今日のまとめ!

 ✅ LARは、アレルギー体質へ移行する可能性は低いものの、喘息の罹患リスクやQOLの低下などのリスクの存在する特殊な疾患であるといえそうだ。

 

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