以下、論文紹介と解説です。

Ipp M, et al. Vaccine-related pain: randomised controlled trial of two injection techniques. Arch Dis Child 2007; 92:1105-8.

生後4~6ヶ月の113人を『事前吸引ありの緩徐なワクチン接種群』と『事前吸引なしのワクチン迅速ワクチン接種群』にランダム化し、痛みの評価を行った。

目的

■ 乳児の予防接種時の急性の疼痛に関して、標準的な緩徐な注射技術を用いた場合と、実際的な迅速な注射技術を用いた場合とで比較する。

 

研究デザイン

■ ランダム化比較試験。

 

セッティング

■ 単一施設の小児科プライマリケアにおける実践

 

対象

■ DPTaP-Hibの定期予防接種を受けている生後4~6ヶ月の健康乳児。

 

介入

■ 標準群:注射前の緩徐な吸引、緩徐な注射、緩徐な引き抜き。

■ 介入群:吸引なし、急速注射、急速な引き抜き。

管理人注
方法は以下のように記載されています(海外では筋肉注射のため90度と記載されていますが、日本では一般的に皮下注が基本となっているため90度ではない)
標準的な手技:針を90度に挿入し、安定した圧力で5~10秒間吸引し、5~10秒かけて緩徐に注入し、針をゆっくりと引き抜いた。
実践的な手技(今回の介入方法):安定した圧力で90度に針を挿入し、吸引は行わず、1-2秒かけて急速に注入し、針を急速に抜いた。
いずれの方法でも、投与後に接種部位をこすることは避けた。

 

主なアウトカム指標

修正行動疼痛尺度(Modified Behavior Pain Scale; MBPS)、啼泣、親・小児科医のビジュアルアナログスケール( visual analogue scale ; VAS)で測定した乳幼児の即時疼痛。

 

結果

■ 113人が参加した。

■ 年齢、出生順、事前の鎮痛薬使用歴に差は観察されなかった。

平均MBPSスコア(95%信頼区間[CI])は、標準群が5.6点(5~6.3点)vs 介入群 3.3点(2.6~3.9点)と高かった(p<0.001)

標準群では、57人中47人(82%) vs 56人中24人(43%)と啼泣する傾向が高く、啼泣する時間が中央値(IQR)14.7秒(8.7~35.6)vs 0秒(0~11.30)と長く、注射に時間が中央値(IQR)8.8秒(7.9~10.3)対0.9秒(0.8~1.1)と長くなる傾向があった(p<0.001)

親と小児科医によるVASスコアの中央値(IQR)は、標準群の方が高く、親によるVASは 3.5(1.6~5.5)vs 1.9(0.1~3.1)であり、小児科医によるVASは2.8(2.0~5.1)vs 1.4(0.2~2.4)だった。

■ 有害事象は認められなかった。

 

結論

■ 実用的な迅速注入法を用いた予防接種は、標準治療の緩徐な方法よりも痛みが少なく、定期的な筋肉内の予防接種には推奨されるべきである。

 

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痛みを減らす配慮のひとつとして、『すみやかな接種』があるといえます。

■ 事前吸引に関しては、その方法に慣れている医療者が変更するかどうかは別の話ですが、乳児に対するワクチンに関しての事前吸引はほとんど行わなくなくなっているようです。

■ その背景には痛みを減らすといった配慮があると考えられます。

■ 他にも、ショ糖を与えるなども有効であることが報告されています。

 

今日のまとめ!

 ✅ 乳幼児に対する予防接種時の痛みの軽減策として、『吸引なしの迅速接種』がある。

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