アトピー性皮膚炎の全身療法の普及が始まり、その有効性が多方面から検討されている。
■ アトピー性皮膚炎の新規薬デュピルマブが、皮膚バリア機能や脂質の組成も改善させるという報告がAllergy誌に報告されていました。
※デュピルマブ(商品名デュピクセント)は、現在のところ小児に保険適応はありません。
Berdyshev E, Goleva E, Bissonnette R, Bronova I, Bronoff AS, Richers BN, et al. Dupilumab significantly improves skin barrier function in patients with moderate-to-severe atopic dermatitis. Allergy 2022; 77:3388-97.
中等症から重症の成人&青年アトピー性皮膚炎患者26名と、年齢および性別が一致する被験者26名に関し、デュピルマブ治療16週間の皮膚バリアに対する効果を評価した。
背景
■ アトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis; AD)は、主に2型免疫反応の亢進によって引き起こされる皮膚脂質の異常が特徴である。
■ インターロイキン(IL)-4受容体のαサブユニットに対する抗体デュピルマブは、最近、ADの治療薬として承認され、強い有効性が示されている。
■ しかし、皮膚バリア構造および機能の調節におけるデュピルマブ療法の役割は、十分に検討されていない。
方法
■ 中等症から重症のAD患者である成人や青年の病変部や非病変部の皮膚における脂質の含有量および経表水分蒸散量(transepidermal water loss; TEWL)を、デュピルマブによる16週間の治療期間中に評価し、それらの値をマッチさせた健常ボランティアの値と比較した。
結果
■ デュピルマブ投与により、AD病変部のTEWLは有意に低下し、健常者の皮膚に見られるレベルまでほぼ低下した。
■ デュピルマブでIL-4/IL-13シグナルを遮断すると、AD患者の病変部や非病変部の角層において、脂質組成が正常化し(非ヒドロキシ脂肪酸およびC18-スフィンゴシンを含むセラミドのレベルが低下し、エステル化オメガヒドロキシ脂肪酸含有セラミドのレベルが上昇)、セラミド鎖長が増加した。
■ これらのパラメータは、2週間後にすでに部分的な変化が観察され、デュピルマブ8週間投与後に完全な効果が得られた。
結論
■ デュピルマブによるIL-4/IL-13シグナルの阻害は、中等症から重症のAD患者において、皮膚の脂質組成とバリア機能を回復させた。
※管理人の感想や論文の解説は、noteメンバーシップで書きました。
基本的に医療者向けで、申し訳ありませんが、質問には基本的にお答えしておりません。
所属するいかなる団体の立場も代表するものではありませんし、すべての方に向いているという情報でもありません。予めご了承いただきたく存じます。
しかし、文章やアイデアを盗用・剽窃・不適切な引用したり、許可なくメディア(動画を含む)に寄稿することはご遠慮ください。
クローズドな場での勉強会などに使用していただくことは構いません。