季節性アレルギー性鼻炎に対するステロイド筋注は、糖尿病や骨粗鬆症のリスクを上昇させる

花粉症に対する『ステロイド筋注』はリスクがある。

■ 2005年の報告ですが、季節性アレルギー性鼻炎に対するデポステロイド注射は、デンマークでよく使用されていたそうです(Stubbe Østergaard M, Østrem A, Söderström M. Hay fever and a single intramuscular injection of corticosteroid: a systematic review. Primary Care Respiratory Journal 2005; 14:124-30.)。

■ しかし、さまざまな副作用が報告されている治療方法でもあります。

 

■ そのデンマークからの、デポステロイド筋肉注射のリスクに関する報告。

 

Aasbjerg K, Torp-Pedersen C, Vaag A, Backer V. Treating allergic rhinitis with depot-steroid injections increase risk of osteoporosis and diabetes. Respiratory Medicine 2013; 107:1852-8.

1995-2011年のデンマーク国民登録から、47,382人の鼻炎患者をレトロスペクティブに検討した。

背景

■ デンマークでは、成人人口の23%がアレルギー性鼻炎に罹患している。
■ 以前、花粉症患者の大多数がガイドラインに反してデポステロイド注射で治療されていることを証明されている。
■ しかし、年1-2回のデポステロイド注射は、患者にとって有害ではないとの仮説もある。

目的

■ アレルギー性鼻炎の治療において、免疫療法に代えてデポステロイドを使用することで、ステロイド関連疾患のリスクが高まるかどうかを検討する。

方法

■ 1995-2011年のデンマーク国民登録に基づくレトロスペクティブ研究であり、診断、投薬、臨床転帰を網羅している。
■ 主要解析は時間依存のポアソン回帰モデルであり、結果は率比(RR)および1000患者年あたりの発生率で示した。
■ ステロイドの使用は、少なくとも3年連続で4月~7月に1回以上注射したものと定義した。
■ イネ科、シラカバ科、その両方に対する特異的免疫療法による治療を非ステロイド対照群として用いた。
■ 骨粗鬆症、感染症、糖尿病、腱断裂などの有害な転帰の相対的なリスクを調査した。

結果

■ 47,382人の鼻炎患者が特定され、55.8%がステロイド、37.6%が免疫療法、6.7%が両方の治療を受けていた。
■ 感染症や腱断裂に有意差は認められなかった。
■ しかしステロイド治療の場合、糖尿病のRRは1.5(95%CI:1.3-1.8、P < 0.001)、発症率は3.9(95%CI:3.5-4.3)、骨粗鬆症のRRは1.2(95%CI:1.0-1.5、P = 0.023)、発症率2.8(95%CI:2.5-3.1)だった。
■ 糖尿病のリスクは、治療開始後2年以内にもっとも高くなった。

結論

■ アレルギー性鼻炎の治療におけるデポステロイド注射の定期的な使用は、免疫療法と比較し、糖尿病や骨粗鬆症と診断されるリスクの増加と関連していた。

臨床的意義

■ 季節性アレルギー性鼻炎をデポステロイド注射で治療することは、毎年のデポステロイド治療が糖尿病や骨粗鬆症のリスクを高めることにつながるため、中止して免疫療法に切り替えるべきである。

 

 

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