卵アレルギーの発症予防には、どのような調理形態が有用かつ安全か?

離乳食における卵の早期導入が卵アレルギー予防に効果的 - 国内外の研究と知見

乳児の離乳食開始と食物アレルギーの発症予防に関し、生後3から6ヶ月に卵を食べ始めると、卵アレルギーの発症リスクが下がるというメタアナリシスがあります。

■ では、最初に食べ始める卵の料理形態に関してはどうでしょうか?
■ 2010年にオーストラリアのメルボルンで実施されているHealthNutsコホート研究からの結果が示唆に富むと思われ、取り上げてみます。

 

Koplin JJ, Osborne NJ, Wake M, Martin PE, Gurrin LC, Robinson MN, et al. Can early introduction of egg prevent egg allergy in infants? A population-based study. J Allergy Clin Immunol 2010; 126:807-13.

生後12ヶ月の乳児2589名を対象に、卵アレルギーと母乳哺育期間、卵・固形食の導入年齢の関連を調査した。

目的

■ 本研究では、生後12ヶ月の乳児における卵アレルギーが、(1)母乳哺育期間、(2)卵及び固形食の導入年齢と関連しているかどうかを明らかにすることを目的とした。

方法

■ 集団ベースの横断研究(HealthNuts)にて、両親は卵白に対する皮膚プリックテストを行う前に乳児の授乳状況及び潜在的交絡因子について報告した。

HealthNuts Study(ヘルスナッツ スタディ)は、オーストラリアのメルボルンで進行中の、食物アレルギーに関する世界初の縦断的コホート研究です。

■ 卵に感作された乳児は、卵経口摂取負荷試験を受けた。
■ 可能な交絡因子を調整した多変量ロジスティック回帰を用いて、食事と卵アレルギーとの関連を分析した。

結果

■ 計2,589名の乳児が参加し、回答率は73%だった。
■ 4~6ヶ月での導入と比較して、それ以降に卵を食事に導入することは卵アレルギーのリスクが高いことと関連していた(調整オッズ比[OR]は、10~12ヶ月での導入では1.6[95%信頼区間(CI)1.0-2.6]、12ヶ月以降での導入では3.4[95%CI 1.8-6.5])。
■ この所見は、危険因子のない小児においても同様であった(OR 3.3[95%CI 1.1-9.9];10-12ヶ月)。
■ 4~6ヶ月齢で初めて調理卵に暴露された場合、Baked eggに暴露された場合と比較して、卵アレルギーのリスクが低下した(OR 0.2[95%CI 0.06-0.71])。

■ 母乳哺育期間及び固形食の摂取開始年齢は卵アレルギーとは関連がなかった。

結論

■ 生後4~6ヶ月での加熱卵の導入は、卵アレルギーを予防する可能性がある。
■ 乳児栄養ガイドラインの変更は、小児期の卵アレルギー及びおそらくより一般的な食物アレルギーへの大きな影響を及ぼす可能性がある。

 

 

※ 論文の背景とその解説・管理人の感想は、noteメンバーシップでまとめました。

 

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