アレルギーの一次予防: レビュー

2017年5月29日

Van Bever HP, et al., OPINION: Primary prevention of allergy – Will it soon become a reality? Pediatr Allergy Immunol 2016; 27:6-12. 

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26456367


今回はレビューです。
まとめでは多くを割愛していますが、これからの研究アイデアなども記載があり、是非本文をご確認頂きたいと思います。
確かに現状では、著者の言われるようにエビデンスがあるのは下記の3つになりますね。


まとめ

最近の研究は、ある特定の介入がアレルギー疾患(特にADとFAの一部)に対する一次予防が可能であることを証明している。

1)  細菌産生物(多くはプロバイオティクス)
1種類より複数類の投与がより効果的であると示唆される。
しかし、AD予防効果はあるものの呼吸器アレルギーの予防に対する効果は証明されていない。
2015年、WAOはAD予防に対する有益性を認め、アレルギー疾患に対するハイリスクの母と児に対し、プロバイオティクスを使用することを推奨した。

2) 早期の保湿剤塗布
ADは、皮膚バリア障害(例えばフィラグリン遺伝子異常)、環境に対する免疫反応の異常が特徴である。
AD発症前に保湿剤を集中的に塗布することにより、AD予防を試みた研究は2つある。それぞれ効果があり、概して生後6ヶ月までのAD発症を予防している。
ただし、感作に関しては証明されておらず、さらに大規模な研究を要する。

3) 早期のアレルギー食物曝露
ピーナッツ導入の時期が異なるイスラエル系乳児において、英国とイスラエルにおいてピーナッツアレルギー(PA)発症が10倍の差が認められることが判明している。
そして、最近のLEAP研究において、640名のハイリスク児において4~11ヶ月でピーナッツを導入する群が5歳時点のPAが70-80%少ないことが証明された。
また、オーストラリアで生後4-8ヶ月に卵を導入する無作為ランダム化試験が報告されている。生後4ヶ月ですでに36%は卵白特異的IgE抗体価0.35以上であり、31%は最初の摂取で陽性反応であり、卵が開始できなかった。
これらより、食物の早期導入が効果がある可能性があっても、一般がが推奨できないということが示唆される。

4) その他
母乳栄養がまだ、アレルギーを予防するために選択肢であり、それはTGF-αとIgAといった免疫調節性物質に依存しているようである。

コメント


これまで、当ブログで抄録を紹介させていただいた論文から多く引用されていた。

将来の研究のアイデアが述べられていて、、単一の介入が最適解であるとはいえないとされている。
免疫療法(IT)(主に舌下免疫療法[SLIT]と経口免疫療法[OIT])、蠕虫または寄生虫様タンパク質のアジュバント効果に関しても言及され、今後の方針も指し示している、とても良いレビューと思う。
また、FA、ADに比較して呼吸器アレルギー疾患に関しては、まだまだであり、乳幼児期のウイルス性呼吸器感染症+エアロアレルゲン感作の複雑な相互作用が重要ではないかと述べられている。

 まだまだ、道半ばで決定打と言えるものはなく、今後の研究が必要ということ。
しかも、「予防法はこれのみ」としていないのは、アレルギー疾患がheterogenousであることを考えても合理的。テーラーメイドな治療や予防になるのはまだまだ先だと思うが、徐々にその片鱗が見え始めている段階といえるのではないだろうか。

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