親指しゃぶりや爪噛みの癖は、アレルゲン感作を抑制する: コホート研究

2017年6月4日

Lynch SJ, et al., Thumb-Sucking, Nail-Biting, and Atopic Sensitization, Asthma, and Hay Fever. Pediatrics 2016; 138.

以前、食洗機を使用しているより手洗いをしている家庭のほうがアレルギーが少なくなるという報告をUPしました。

また、おしゃぶりを煮沸消毒ではなく親御さんが口でなめてきれいにするという習慣をもっているほうがやはり児のアレルギーが減るという報告もあります(Hesselmar B,. Pediatrics 2013; 131:e1829-37.)。衛生仮説(Strachan DP. BMJ 1989; 299:1259-60.)を支持する結果と言えますが、今度は指しゃぶりや爪噛みの癖がアレルギーを予防するかもしれないという報告です。

P: Dunedin Multidisciplinary Health and Development Study(ニュージーランドの出生コホート研究)に参加した1972-1973年出生の1037名(男児52%)
E: 5、7、 9、11歳時の親指しゃぶりの癖、爪噛みの癖
C: –
O: 13歳と32歳時のアトピー性感作、喘息、花粉症の発症に影響するか

 

結果

317例(31%)の児は、5、7、 9、11歳時のうち1回以上、親指しゃぶりもしくは爪噛みの癖があった

アレルゲン感作は皮膚プリックテストで行い、13歳時点でハウスダスト、ヤケヒョウヒダニ、雑草、ネコ、イヌ、ウマ、カポック、羊毛、Aspergillus fumigatus、アルテルナリア、ペニシリウム、Cladosporiumで検査され、32歳ではゴキブリも追加検査された。アレルゲン感作は、皮膚プリックテストにおいて、少なくとも1つ以上に直径2mm以上の膨疹があった場合を陽性とした。

皮膚プリックテストは13歳時に724人、32歳で935名に実施された。

親指しゃぶりもしくは爪噛みの癖がある児は、アトピー性感作のリスクが有意に低く、13歳時はオッズ比(OR) 0.67(95%信頼区間[CI] 0.48-0.92、P = .013,)、32歳時のOR 0.61(95%CI 0.46-0.81、P = .001)だった

両方の癖がある児は、片方だけの癖のある児よりアトピー性感作リスクが低値だった。

一方、親指しゃぶりや爪噛みの癖は、喘息や花粉症には影響しなかった。

 

コメント

親指しゃぶりや爪噛みの癖が、アレルゲン感作を予防するという結果にまとめられます。

衛生仮説に関しては、外来でも聞かれることが多い説ですが、「清潔になりすぎるとアレルギーになりやすい」とざっくりまとめられてしまうことが多く、「じゃあ、掃除はしなくていいんですか」と間違った方向に行きがちの誤解されやすい説でもあります。もちろん、あくまで細菌に対する曝露が重要ですので家庭の掃除とはまた別の話になります。

なお、最初に挙げたのおしゃぶりの報告(Hesselmar B,. Pediatrics 2013; 131:e1829-37.)は、生後6ヶ月でのおしゃぶりの洗浄方法が1歳半-3歳時点でのアレルギー感作や喘息・湿疹の予防効果もあるという結果でした(もしリクエストがあればUPします)。今回提示した報告より、ずっと早い時期の曝露がさらにいい結果となったのかもしれません。

とはいえ、指しゃぶりは歯の変形などにも影響しますし、この報告は「アレルギー専門医のネタ」くらいなのかもしれません。自分自身の講演でも、上記のおしゃぶりのお話をすると会場で笑いがでて場が和むので、提示することが多いです。

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