新生児期から保湿剤を使い、アトピー性皮膚炎を予防できるかどうか?
■ 今回が、紹介させていただく論文が50本目になります。
■ 「新生児期からの保湿剤をしっかり使用すると、アトピー性皮膚炎が予防出来るかもしれない」は、常識になりつつあります。
■ そのテーマでの世界初のランダム化比較試験。本邦からの報告。
E: 毎日保湿乳液を1日1回以上塗布59例(Intervention;I群)
C: 乾燥が目立つ部位のみプロぺトを局所塗布59例(Control;C群)
O: 生後32週までのアトピー性皮膚炎の発症率
結果
■ 毎日保湿剤を塗布した群(I群)は、Control群に比較して、32%アトピー性皮膚炎(AD)発症が少なかった(Log rank test; p=0.012)。
論文より引用。Intervention群はControl群よりアトピー性皮膚炎の累積発症率が低い。
■ 両群で卵白感作率に有意差は認められなかったが、アトピー性皮膚炎発症群とアトピー性皮膚炎非発症群では卵白感作に有意差が認められた(オッズ比 2.86 [95% CI,1.22-6.73)。
論文から引用。アトピー性皮膚炎があった群は、アトピー性皮膚炎がなかった群に比較して卵白感作が有意に多い。
新生児期から保湿剤を使用することでアトピー性皮膚炎予防できることを示した、初のランダム化比較試験。
■ 新生児期からの保湿剤塗布により、アトピー性皮膚炎の発症を抑制するという初のランダム化比較試験。
■ 同じ雑誌の同じ号に英米合同チームから同様の結果が報告され(J Allergy Clin Immunol 2014; 134:818-23.)、地域によらず保湿剤塗布によるアトピー性皮膚炎発症予防の可能性が示唆されました(ただし、英米合同チームでの研究はあくまでアドヒアランスをみるpilot研究の位置づけ)。
※ この研究で使用されていたのは「2e(ドゥーエ)」でした。
※ 最近、2eの赤ちゃん向けが市販されています。こちらの方が少し安価。