加水分解乳は、いわゆる「低アレルゲンミルク」です。
■ 加水分解乳とは、乳蛋白質を分解してアレルゲン性を下げたミルクのことです。
■ 本邦のガイドラインでは、「低アレルゲン化ミルクを使用する場合には、医師の指導の下に行う」とされています。
■ 一方、海外のガイドラインでは推奨もされていましたが、最近、そのメタアナリシスが発表されました。結果はどうでしょうか。
E: 加水分解乳
C: 一般調乳(他の加水分解乳、母乳、一般ミルク)
O: アレルギー疾患、自己免疫疾患、アレルギー感作に影響するか
低アレルゲンミルクでは湿疹の予防は出来なかった。
■ 一般ミルクと比較し、加水分解乳は、0-4歳の湿疹発症リスクを低下させなかった。
■ 部分加水分解乳はオッズ比 0.84(95%信頼区間0.67~1.07; I2=30%)、高度カゼイン加水分解乳 0.55(0.28~1.09; I2=74%)、乳清加水分解乳 1.12(0.88~1.42; I2=0%)という結果で、それぞれ有意差はなかった。
論文から引用。部分・高度・乳清加水分解乳それぞれ、有意な湿疹予防効果は認められない。
加水分解乳(低アレルゲンミルク)をアレルギーを予防するために摂取するのは勧められないと言えそうだ。
■ FDAでは、部分加水分解乳が湿疹のリスクを低下させる可能性があるとしていましたが、今回の研究結果はそのエビデンスがないことを示しています。
■ これを受けて、すでにオーストラリアのガイドラインは変更されたそうです(Bmj 2016; 352:i1710.)。
■ 牛乳アレルギーのために、低アレルゲンミルクを使用することは正しい方法でしょうけれども、低アレルゲンミルクをアレルギーを予防するために摂取するのは勧められないでしょう。最近の総論でもその点が指摘されています。
■ また最近、完全母乳栄養の推進がアレルギー予防にはあまり働かないという報告もあります(母乳栄養の否定ではありません)。