プレバイオティクスのアレルギー予防効果:メタアナリシス

プロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクス(プレ+プロバイオティクス)。区別した上で、さて、アレルギーの予防に有効でしょうか?

うさみん
ねえ、ほむほむ。
プロバイオティクスは乳酸菌とかだよね?
じゃあ、プレバイオティクスとか、シンバイオティクスとかは何のこと?

ほむほむ
ああ、プロバイオティクスは確かに乳酸菌を中心とした、人間に良いことをする菌のことだね。
そして、プレバイオティクスはプロバイオティクスの増殖を助けるような、たとえばオリゴ糖などのことだ。
そして、シンバイオティクスはプレバイオティクスとプロバイオティクスを足したものだね。

プロバイオティクスは、「適正な量を摂取したときに宿主に有用な作用を示す生菌」、プレバイオティクスは、「大腸の
有用菌の増殖を選択的に促進し、宿主の健康を増進する難消化性食品」のことである。

日本静脈経腸栄養学会雑誌 31(3):797-802:2016より引用。

うさみん
ややっこしいですねえ、、、
それらに、アレルギーの予防効果があるんですか?

ほむほむ
まだ、十分結論がでているとはいえないけど、いくつかのメタアナリシスでは特に、「複数の」「プロ」バイオティクスを使用すると予防効果があるかもという結果になっているんだ。
今回は、「プレ」バイオティクスのメタアナリシスの結果を読んでみよう。

 

 

Cuello‐Garcia C, et al. Prebiotics for the prevention of allergies: A systematic review and meta‐analysis of randomized controlled trials. Clinical & Experimental Allergy 2017; 47:1468-77.

プレバイオティクスとアレルギー発症予防を検討した22研究に対してメタアナリシスを実施した。

背景

■ 幼児のアレルギー性疾患の有病率は、アレルギーの一親等血縁者がある場合、、約10%から20〜30%に達する。

■ プレバイオティクスは、胃腸の微生物細菌叢の組成/活性の特異的な変化を可能にする選択的な発酵食品成分である。

■ それらは免疫応答を調節し、補充することでアレルギーを予防するための介入となると提案されている。

 

目的

■ 妊娠中の女性、授乳中の母親、乳児(集団ベース)に対し、アレルギー疾患の発症に関するプレバイオティクス(介入群)対プレバイオティクスなし(比較対象)の効果を評価は、世界アレルギー機構のガイドラインで通知された。

 

方法

■ 我々は、アレルギーの発症を予防する意図でプレバイオティック内服の影響を評価した研究を体系的にレビューした。

 

結果

■ Cochrane、MEDLINE、EMBASEにおいて2016年11月までに公開された報告446本のうち、22研究が先験的に特定された基準を満たしていた

論文より引用。論文選択のフローチャート。

■ 妊娠中の女性や母乳育児中の母親に与えられたプレバイオティクスに関する研究は見つからなかった。

■ 乳児に対するプレバイオティクス内服は、プラセボと比較して、湿疹発症リスク(RR 0.68,95%CI 0.40〜1.15)喘鳴/喘息発症リスク(RR 0.37,95%CI 0.17〜0.80)食物アレルギー発症リスク(RR 0.28,95%CI 0.08-1.00)の発症予防効果だった。

■ 副作用のリスクが高いというエビデンスはなかった(RR 1.01,95%CI 0.92〜1.10)。

■ プレバイオティクス内服は、成長率(プレバイオティクス群でMD 0.92g /日早い[有意差なし]; 95%CI:0〜1.84)や最終体重(プレバイオティクス群でMD 0.10kg多い[有意差なし]; 95%CI 0.09〜0.29)にほとんど影響しなかった。

■ これらの推測の​​確実性は、バイアスリスクと結果の不正確さにおいて非常に低かった。

 

結論

■ アレルギーの発症リスクを低減するためのプレバイオティックス内服に関する現在入手可能なエビデンスは、非常に不確実である。

 

結局、何がわかった?

 ✅乳児期のプレバイオティクス内服は、プラセボと比較して、湿疹発症リスク(RR 0.68,95%CI 0.40〜1.15)、喘鳴/喘息発症リスク(RR 0.37,95%CI 0.17〜0.80)、食物アレルギー発症リスク(RR 0.28,95%CI 0.08-1.00)の発症予防効果だった。

 ✅ただし、バイアスリスクなどからエビデンスは不確実だった。

 

 

まだプレバイオティクスの発症予防効果に関してははっきりしていないと言えそうです。

■ プロバイオティクスに関しては、すでにシステマティックレビューが発表されており、特に「複数の」プロバイオティクスを内服する有用と報告されています。

■ しかし、その報告には反対意見もあります。

■ さらに、シンバイオティクスは治療には有用だけれども予防には有効ではないというメタアナリシスが発表されています。

■ まだまだこの分野に関しては一定の見解を出すのは、難しいようです。

 

今日のまとめ!

 ✅乳児期のプレバイオティクス内服は、喘鳴/喘息発症リスクを0.37倍にしたものの、バイアスリスクのため結論が出せなかった。

 

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