ペニシリンアレルギーが疑われて、負荷試験をするとどれくらい陽性か?

■ 薬物アレルギーは、外来で最も困るアレルギー分野のひとつではないでしょうか。

■ 今回はペニシリンに対する薬物アレルギーの報告です。

 

PECO
P: Montreal Children’s Hospitalにおいてアモキシシリン(ペニシリン)にアレルギーが疑われた818名
年齢中央値、1.7歳、 男児53.9%
E: 臨床的特徴、疑わしい抗菌薬による治療歴、本人および第一親等の既往、アトピーと反応に対する加療歴
C: -
O: アモキシシリンの段階的負荷試験(PC)の陰性予測値および、即時型反応・非即時型反応の予測に関連している因子

結果

段階的ペニシリン負荷試験(PC)は、アモキシシリンの治療量(50mg/kg、max1.5g)の10%を投与後20分後に残り90%を投与した。少なくとも1時間経過観察した。

■ 即時型反応陰性の場合は、メールや電話を用いて、どんな有害事象も報告するように指示されて帰宅した。

■ 即時型反応陽性の場合は、2-3ヶ月にベンジルペニシリンとPRE-PENによる皮膚プリックテストと皮内反応を行った(管理人注;PRE-PENは海外で使用される皮膚検査用のキットの様です)。

770例(94.1%)はペニシリン段階的負荷試験が陰性だった

■ その後3年間、アモキシシリンの使用と経過を確認するために、家族に確認を継続した。

17例(2.1%)は軽度の即時型反応を呈し、31例(3.8%)は非即時型反応を呈した

即時型反応17例のうち、皮膚テスト陽性者は1名(5.9%)のみだった。

■ ペニシリン段階的負荷試験は、特異度100.0%(95%CI、90.9%-100.0%)、陰性予測値89.1%(95%CI、77.1%-95.5%)、陽性的中立100.0%(95%CI、86.3%-100.0%)だった。

■ 非即時型反応の中央時間は12時間(四分位5.0-36.0時間)であり、非即時型反応31名のうち9名はペニシリン段階的負荷試験の24時間以上後に反応した。

■ ペニシリン曝露5分以内の即時型反応歴は、ペニシリン段階負荷に際する即時型反応に有意に関連した(補正オッズ比= 9.6; 95%CI、1.5-64.0)。

7日以上持続した発疹(補正オッズ比= 4.8; 95%CI、1.4-16.4)、親の薬物アレルギー既往歴(補正オッズ比= 3.0; 95%CI、1.3-6.8)も、ペニシリン段階負荷に際する非即時型反応と有意に関連していた。

 

コメント

■ 薬物アレルギーは、外来のセッティングで最も難渋するアレルギー疾患のひとつです。

しかし、ペニシリンアレルギーがあると答えた成人に対して再度負荷試験を行ったところほとんど症状が再現できなかったという報告もあります(J Allergy Clin Immunol Pract 2013; 1:258-63.)。しかし、小児での大規模なデータはありませんでした。

本研究の結果は、小児でも、ペニシリンアレルギーを疑った小児にうち90%以上がペニシリン耐性(負荷試験をしても陰性)であったことになります。

一方、やはり皮膚検査の陽性率もとても低く、やはり臨床に直結するとはとても言えません

負荷に関しては20分間隔で行っていたのが参考になりました。

自分自身では少々怖いので、もっと間隔を開けることが多いですが、20分間隔+1時間経過観察でいいのであれば、外来でも対応できるかもしれません。

ただし、24時間以上経過してから非即時型反応が31名中9名起こっており、もし一泊入院で確認したとしても、その後に症状が出る場合もかなりあるということです。

皮膚試験が役に立たず、負荷試験も時間が経過してから症状が発現する場合があると考えると、薬物アレルギーが対応に難渋する疾患であることは変わりがないといえそうです。

どちらにせよ、ペニシリンのみではありますが、今後参考にするに値する素晴らしい研究であると思います。

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