Confino-Cohen R, et al. Oral Challenge without Skin Testing Safely Excludes Clinically Significant Delayed-Onset Penicillin Hypersensitivity. J Allergy Clin Immunol Pract 2017; 5:669-75.
ペニシリンアレルギー”疑い”の患者さんに皮膚検査は必要か?
■ ペニシリンアレルギーが疑われていても、実際に負荷試験をして陽性になるのはわずかだという結果を、以前お示しいたしました。
■ では、疑いのある患者さんに、事前の皮膚検査は参考になるのでしょうか?その結果を示した研究を提示いたします。
■ なお、この論文はすでにフリーで閲覧可能です。
E: 皮膚テスト(skin tests; ST)陽性
C: ST陰性
O: 非即時型反応の既往を有する患者に対するペニシリン再投与前に、皮膚検査が必要か
結局、何を知りたい?
✅ペニシリンの非即時型反応かもしれない患者さんに、事前にペニシリンの皮膚検査が必要かどうかとを知ろうとしている。
明らかな即時型反応のある患者さんを除き、皮膚検査結果に関係なくペニシリン負荷試験を実施。
■ 最後のペニシリン使用から1時間以上経過して発症した患者、初回のペニシリン治療日後の発症した患者、また、発症の記憶があいまいである患者は、ペニシリンに対する皮膚検査を受けた。
■ ST結果を無視して、患者はペニシリン負荷試験を受けた。
■ 負荷総量の10分の1量のペニシリンを投与後1時間後に総量が投与され、5日間ペニシリン総量を服用し続けた。
■ 即時反応(52人、7.3%)の既往歴がある患者、セファロスポリンアレルギー(16人、2.2%)の既往歴をある患者は除外された。
■ 残りの642人のうち、62.3%はST陰性であり、ST陽性が5.3%、不確かなSTは32.4%だった。
合計617人(96.1%)が負荷試験を実施した。
■ 即時型反応は、9人(1.5%)で観察された(ST陽性1人、ST陰性7人、ST不確か7人(P=.7)。
■ 1日目の負荷試験における遅延反応は、24人(4%)で生じた。
■ 自宅での負荷は、491人で継続された。5日間の負荷試験を完了した患者は417人(85%)で耐性があり、ST結果を無視している患者は44人(8.9%)だった。
■ STの結果に関係なく、30人(6.1%)は家庭での負荷試験で軽い反応があった。
論文から引用。リクルートから結果のフローチャート。
結局、何がわかった?
✅非即時型ペニシリンアレルギーが疑われる患者さんで、負荷試験を行ったが、事前の皮膚検査の結果に関わりなく症状が認められた。
即時型でないペニシリンアレルギーの疑いであれば、事前の皮膚検査はしなくてもいいかもしれない。
■ ペニシリンは、最も一般的な過敏反応に関連した薬剤です。
■ 現在のガイドラインで、非即時型反応(nonimmediate reactions;NIR)の既往を有する患者に対しペニシリンを再投与する前に、陰性皮膚テスト(skin tests; ST)が推奨されています。
■ しかし、本検討では、ペニシリン治療による発症した非即時型反応後に皮膚テストを行わなずに5日間の経口負荷試験を行っても、ペニシリンアレルギーを除外するのに安全かつ十分であることを示したと述べられていました。
今日のまとめ!
✅非即時型ペニシリンアレルギーの疑いに対して、事前の皮膚検査は役に立たないようだ。