小児期のネコやイヌの感作は、将来のネコやイヌの症状発症を予測する

ペットに関して、どう指導するかは悩ましいです。

■ 昨日の論文は、ネコは持続して飼育していたほうが防御抗体といえるIgG4が増加するという報告。

■ 今回は、小児期にネコやイヌに感作されていると将来ネコやイヌアレルギーを発症している可能性が高いという報告。

 

P: BAMSE/MeDALLコホート研究4089名からランダムに収集された779名
E: 4, 8歳時のネコ・イヌ特異的IgE抗体価(ImmunoCAP)、Fel d1,2,4(ネコアレルギー分子)、Can f1,2,3,5,6(イヌアレルギー分子)に対するIgE抗体価(ISAC技術を使用)
C: -
O: 16歳時のネコ・イヌに対する症状の予測

 

 

 

結果

■ アレルギーは、ネコまたはイヌに対する曝露による鼻炎、結膜炎または喘息と定義された。

■ 4・8・16歳でネコとイヌ抽出物に対するIgE(ImmunoCAP)陽性率(0.35以上)はネコ6.8%、13.9%と19.8%、イヌ5.1%、11.6%、22.9%だった。

■ 将来のネコアレルギーの予測に関し、Fel d1もしくはネコ特異的IgEは、同程度の陽性適中率を示した。

■ 将来のイヌアレルギーの予測に関し、Can f1もしくはイヌ特異的IgEは、イヌ抽出物特異的IgEより高い陽性予測値を示した。

■ 小児期のFel d1、Can f1に対する感作は、16歳におけるネコまたはイヌに対する症状と有意に関係していた。

■ ネコ・イヌ特異的IgE抗体価の結果よりも、アレルゲン分子に対する3種類以上に感作されている場合は、将来のイヌネコの症状をより有意に予測し、多抗原に感作していた小児は、将来より強い症状を呈すると予測された。

 

ペットに対し、どうするべきかは個別に考えていくしかなさそうです。

■ ネコ/イヌアレルゲンに感作している小児に関し、前向きに呼吸器症状をみていくpopulation-based studyを行ったのは、これがはじめてだそうです。

■ 昨日の論文と矛盾している印象も持つかもしれませんが、幼児期にネコを飼育し続けると防御抗体が産生はされても、それ以上にアレルギーとしては明らかになってしまう可能性のほうが高いと考えれば矛盾はないでしょう。

■ 診療していて、症状が安定してきた患者さんが急に症状が不安定になってきて、おかしいなと思い、よくお話をお聞きすると新しくペットを飼いはじめたという患者さんがいらっしゃいます(多くの場合は、事前にどうしましょうかと相談されるのですが、、)。

■ ダニはいくらでも減らしていいと思いますが、ペットも生き物ですから簡単に手放せるわけはありません。結局薬剤を増量する結果になることがあります。

■ どちらにせよ、飼育し続けるかどうかは、ご家族と相談を十分していく必要性はあるでしょうけど、簡単な問題ではないですね。

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