0.34 kU / L以下をIgE検査陰性と評価しますが、0.10~0.34 kU / Lに意味があるかという報告。
■ 以前は検査の精度の問題で特異的IgE抗体価 0.35 kU/L未満を感作なしと評価していましたが、現在は精度があがり、0.10~0.34 kU / Lも数値として評価できるようになりました。
■ 乳児期の特異的IgE抗体価 0.10~0.34 kU / Lに意味があるかという報告がありましたのでご紹介します。
スポンサーリンク(記事は下に続きます)
Nilsson SF, et al. Relevance of low specific IgE levels to egg, milk and peanut in infancy. 2018.[Epub ahead of print]
コホート試験に参加した児372人において、生後6ヵ月、1、2、5歳に特異的IgE抗体価を感作なし(<0.1 kU / L)、低感作(0.1- 0.34 kU / L)、感作あり(≧0.35 kU / L)に分類し、生後6カ月時の低感作がその後のアレルギー疾患に関連するかを評価した。
背景
■ IgEに対する感作は、通常、アレルギー関連疾患に関連するが、症状のないヒトでも起こり得る。
■ 乳幼児期のアレルギー発症に関連して、0.1~0.34kU / LのIgE抗体価の臨床的重要性は十分に評価されていない。
目的
■ 乳幼児期の感作やアレルギー関連疾患の発症に対し、生後6ヶ月齢における低レベルの鶏卵、牛乳、ピーナッツ特異的IgE(s-IgE)抗体価の関連性を評価する。
方法
■ ALADDINコホートにおける、生後6ヵ月、1、2、5歳に採取した血液サンプルからの関連アレルゲンに対するs-IgE抗体価を感作なし(<0.1 kU / L)、低感作(0.1- 0.34 kU / L)、感作あり(≧0.35 kU / L)と、アレルギー関連疾患を評価した。
結果
■ 計372人の小児がこの研究に参加した。
■ 生後6ヶ月の感作のない児と比較し、、生後6ヶ月に食物アレルゲン、特に卵に対するアレルゲン特異的IgE抗体価への低感作(0.1-0.34kU / L)のある児は、5歳時の吸入アレルゲンへの感作の進行と関連していた(14人中10人 [71%] vs 250人中39人 [15%])。
■ さらに、生後6ヶ月時に卵または牛乳に対する低レベルの感作のある児は、1歳時に各アレルゲンに感作されており、卵への低レベルの感作に関しても湿疹に関連していた(18人中6人 [33%] vs 292人中29人 [10%])。
結論と臨床的妥当性
■ 乳児期の食物アレルゲンに対する0.1-0.34kU / LのIgE抗体価は吸入アレルゲンに対する感作の可能性を高め、乳児期の卵への低レベルの感作も、乳幼児期の湿疹の可能性に同様に可能性を高めると思われる。
■ したがって、生後1歳までのIgE抗体価は、0.35kU / L未満であっても、追加のアレルギー関連の予後情報を提供する可能性がある。
スポンサーリンク(記事は下に続きます)
結局、何がわかった?
✅ 生後6ヶ月に食物アレルゲン、特に卵に対するアレルゲン特異的IgE抗体価に0.1-0.34kU / Lの感作があると、5歳時の吸入アレルゲンへの感作リスクが高くなった(14人中10人 [71%] vs 250人中39人 [15%])。
✅ 生後6ヶ月時に卵または牛乳に対し0.1-0.34kU / Lの感作があると、1歳時に各アレルゲンに感作されており、卵への0.1-0.34kU / Lの感作もその後の湿疹リスクに関連していた(18人中6人 [33%] vs 292人中29人 [10%])。
乳児期にわずかな感作をしていても、その後の経過に影響するかもしれない。
■ 乳児期の感作はすでになんらかの湿疹を発症している可能性は否定できませんが、乳児期のごくわずかな感作がその後の多抗原感作や湿疹の発症に関連するかもしれないという結果。
■ たしかに普段診療していても感じられる経過です。早期に皮膚加療を行うとかなり違うのではないかという印象はもちますが、あくまで私の印象です。
今日のまとめ!
✅ 乳児期の特異的IgE抗体価 0.1-0.34kU / L程度の軽微な感作も、その後の経過の予測に有効かもしれない。