Sicherer SH, et al. The natural history of egg allergy in an observational cohort. J Allergy Clin Immunol 2014; 133:492-9. 

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24636473


卵アレルギーの自然歴(将来どうなっていく予想が立つか)を示す重要な論文。
よく言われている、「3歳までに寛解する」というのは、あくまで軽症児に限っていて、中等症以上だと思った以上に遷延していることがわかります。
これは卵アレルギーの自然歴ですが、明日に牛乳アレルギーの自然歴の論文をUPします。


P: 生後3-15か月の児 213名
1)皮膚プリックテスト陽性かつ卵の明らかな即時型アレルギーの既往歴
and/or
2) 中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)と卵に対するプリックテスト陽性
E: リクルート時の月齢、性、人種、卵白特異的IgE、IgG4抗体価、卵白皮膚プリックテスト(SPT)の径、母乳栄養、他の食物アレルギー、喘息と鼻炎など
C: -
O: 生後72か月(中央値)までの卵アレルギー寛解率

結果


105例(49.3%)が寛解した。
baselineで特異的IgE <2 kUA/L, 2-10 kUA/L, ≧ 10 kUA/Lに層別化すると特異的IgEが高値の群ほど寛解率が低率だった(<0.001)。
図は論文から引用。
baselineで卵白特異的IgE抗体価が≧ 10 kUA/Lの群は72ヶ月に達しても3割程度しか寛解していない。


SPTも径が大きいほど寛解率は低値(p=0.002)。
ADも中等症以上が寛解率が低値(p=0.036)。

コメント


最近、卵に関して本邦の研究結果も英文で示されました(Ohtani K, et al. Natural history of immediate-type hen's egg allergy in Japanese children. Allergol Int 2016; 65:153-7.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26666473
)

ただし、この論文はレトロスペクティブ研究です(もちろん、とくに本邦にとって重要な研究結果であることは間違いありません)。
この結果からは、卵白特異的IgE抗体価が高値の場合は、一般に良く言われているような「3歳までに良くなります」とはとても言えないなと思います。もちろん、ADのコントロールも重要であり、十分な加療でないとIgEは上昇していく可能性が高いことが指摘されており、皮膚状態が悪化している方が寛解しにくいことも示唆されています。

プロアクティブ治療とリアクティブ治療の1年後: ランダム化比較試験

アトピー性皮膚炎の重症度が高いほど、その後の食物アレルギーのリスクは上昇する

さらに、1歳未満でピーナッツを開始し5歳まで継続した群は1年間中断しても寛解が維持されているLEAP-on研究の結果に比べ、5-11歳に経口免疫療法を始めた卵アレルギー児は4年間継続摂取しても、2ヶ月中断すると半数は寛解が維持できなくなっていまう研究結果からも、卵アレルギーは、「待つより開始」を早めに考えたほうがいいのではないかと思えます。

乳児期に早期導入して予防した食物耐性は、中断しても維持される(LEAP-onスタディ)

鶏卵経口免疫療法において、長期間継続したほうが完全寛解率が上昇する


とは言え、では「こうした方がいい」という具体的な指針は、容易に示すことが難しいのも事実。
最近、海外でピーナッツに関してのかなりつっこんだ指針が策定されてきたようですが、本邦では卵・乳・小麦などに関してが更に重要な食物と思いますし、さらに具体的な方針を決めていく時期が迫っているといえそうです。

評価:
Donald Y. M. Leung MD PhD,Stanley J. Szefler MD,Francisco A Bonilla MD PhD,Cezmi A Akdis,Hugh Sampson
Elsevier

¥ 12,085

(2015-08-25)

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