食物経口負荷試験における遅発型反応: 症例集積研究

Saleh-Langenberg J, et al., Late reactions in food-allergic children and adolescents after double-blind placebo-controlled food challenges. Allergy 2016.(in press)

遅発型反応はどれくらいの頻度で起こるのか?

■ 二重盲検負荷試験(DBPCFC)後の遅発型反応の報告としては初めてだそうです。

 

PECO
P: 牛乳、鶏卵、ピーナッツ、カシューナッツ、ヘイゼルナッツでDBPCFCを受けた小児1142名
E: -
C: -
O: 遅延反応(LRs)にどの因子が関連するか

1142回の負荷試験のうち、遅発型反応がどれくらい起こっているかを調査した。

遅発型反応は、最後のチャレンジ2-48時間に起こった症状と定義され、すべての症候を5つのカテゴリーに分類し記録した。

■ 結果として、1142試験中400の遅発型反応が報告された。

■ 遅発型反応を報告したのは、負荷食もプラセボ両方で53例(4.6%)負荷食のみで237例(20.8%)プラセボのみで110例(9.6%)だった。また、158例では即時型反応なく遅発型反応のみを報告した。

■ 負荷食でのLRs頻度は、プラセボによるLRsより頻度が多かった(p=0.001)。

LRsの多くは不活発、落ち着きのなさ、啼泣、眩暈感および/または不安感であり、負荷食(112例(47.3%))でもプラセボ(56例(50.1%))でも報告した。

■ 負荷食に対するLRsの予測に関し独立して有意の変数は、年齢、鼻結膜炎の既往、ヘイゼルナッツ・アレルギーの既往、即時反応の重症度だった。

■ 一方、プラセボに対するLRsの予測に関し独立して有意の変数は、年齢、食物特異的IgE抗体価、鼻結膜炎の既往、カシューナッツまたは乳での二重盲検プラセボコントロール食物負荷試験(DBPCFC)だった。

 

予想以上に遅発型反応は多いが、重篤ではなかった。

予想以上に遅発型反応は多く、有意に負荷食で多いとはいえ、プラセボでも決して少なくないようです。

■ 年齢が遅発型反応を予測する重要な因子であることを示されており、著者は両親がより年少児では過度に症状を報告する傾向があるのではないかとしています。

■ また、ヘイゼルナッツ(負荷日)、ピーナッツとカシューナッツ(プラセボ日)にLRsが関連したのはナッツ類により心理的な要因が影響したと考察されており、やはり多分に心理的な影響があるのでしょう。

■ 負荷食日のヘイゼルナッツのLRs20例は、胃腸症候(胃痙攣、嘔吐、下痢)11例、皮膚症候(湿疹が悪化した)7例、下気道症状 4例であり重篤ではないことから、重篤な即時反応でなければDBPCFCの2時間後には退院可能ではないかと述べられていました。

■ 医療機関のセッティングにより絶対的なものにはなりませんが、基本的には食物負荷試験は日帰りでも何とかなりそうですね(一泊が可能であれば、もちろんそれでもより良いと思われます)。

 

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