IgE抗体陽性のために除去食が指導されていたピーナッツアレルギー児の多くは、実際に食べると症状はない

離乳食の早期開始と、食物特異的IgE抗体検査の問題点。

■ 最近、食物アレルギーの子どもが増加していることが指摘されています。
■ そのため、離乳食を早期に開始することで食物アレルギーを予防するという方策が推奨、もしくは提案されるようになっています。

■ その流れの中で、事前のスクリーニングとして食物特異的IgE抗体検査が実施されることがすくなくありません。

■ このスクリーニングに関しては意見がわかれることもあるのですが、検査値のみでの除去食が行われるリスクが高まる問題点をはらんでいます。

■ そして除去食により、むしろアレルギーを増やしてしまう、もしくは栄養状態を悪化させる可能性も高まります。

■ IgE抗体陽性は、除去食の絶対的な指標にはなりません。

■ そのため、その出てきた数値をどのように読むのかは、専門医でも頭をなやますことがあります。

■ 実際、特異的IgE抗体価が陽性で除去食をうけていた方が、本当の食物アレルギーであったケースは多くないことを示した報告があります。

※医師に指示されている食物を、自己判断で開始して良いという意味ではありませんのでご留意くださいませ。

Fleischer DM, Bock SA, Spears GC, et al.: Oral food challenges in children with a diagnosis of food allergy. The Journal of pediatrics. 2011, 158:578-583.e571.

National Jewish HealthでIgE依存性食物アレルギーの評価を受けた1歳から19歳までの小児125人を対象とし、レトロスペクティブに検討した。

目的

■ 血清免疫グロブリンE(IgE)測定にもとづく陽性結果を基にした食物除去を行った患者における経口食物負荷試験の結果を評価する。

研究デザイン

■ この研究は、2007年1月から2008年8月までにNational Jewish HealthでIgE依存性食物アレルギーの評価を受けた1歳から19歳の小児125人(年齢中央値4歳)を対象とした後方視的カルテレビューである。
■ 臨床歴、プリックテスト、アレルゲン特異的IgE検査が分析された。

結果

■ 食物除去と経口食物負荷試験の結果が要約された。
■ 除去理由によるが、84%から93%の食物除去が経口食物負荷試験後に食事への再導入が可能となり、除去されていた食物の大部分に耐性があることが示された。

結論

■ アナフィラキシーがない場合、食物除去の必要性を判断するために血清食物特異的IgE検査のみに依存するのは不十分である。
■ 特にアトピー性皮膚炎を持つ小児の場合、食物アレルギーの状態を確認するためには経口食物負荷試験が適応される。

 

 

※論文の背景や個人的な感想などは、noteメンバーシップにまとめました。

 

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