増えている木の実アレルギー。基本的には個別に考える必要性がありますが、一部の木の実類はそれぞれ関連が深いこともわかっています。
■ 木の実アレルギーに関しては、それぞれが独立しているアレルゲンであるという認識が必要です。
■ しかし、一部は近しい関係性にあることが知られています。
■ カシューナッツとピスタチオに関しては、特に近しいアレルゲンと考えられています。
■ それでも、『完全』ではないことが報告されています。
■ 一方で、クルミとピーカンナッツもかなり近いアレルゲンであることがわかっています。
■ では、クルミアレルギー患者に、実際にピーカンナッツアレルギーのひとははどれくらいあるのでしょうか?
■ 最近、クルミとピーカンナッツに同時にアレルギー反応を引き起こす人、クルミだけで反応する人に焦点を当てた研究があります。
Elizur A, Appel MY, Nachshon L, Levy MB, Epstein-Rigbi N, Pontoppidan B, et al. Clinical and Molecular Characterization of Walnut and Pecan Allergy (NUT CRACKER Study). The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice 2020; 8:157-65.e2.
クルミに感作された76人の患者に対し、クルミとピーカンの経口食物負荷試験を行った。
背景
■ クルミアレルギー患者と、クルミに感作されているもののクルミに耐性のある患者を区別する診断法は限られている。
■ さらに、クルミのみにアレルギーがある患者とクルミ-ピーカンの2つともにアレルギーのある患者の特徴も不明な点が多い。
目的
■ クルミおよびピーカンアレルギー患者の臨床的および分子学的特徴を提供する。
方法
■ クルミに感作された患者76人の前向きコホート研究を実施した。
■ クルミの皮膚プリックテストとクルミとそのコンポーネント特異的IgE抗体価測定を実施した。
■ 患者は、クルミとピーカンを定期的に摂取していない限り、クルミとピーカンの経口食物負荷試験を行った。
結果
■ 調査した76人の患者のうち、61人がクルミアレルギー、15人がクルミ耐性と診断された。
■ Jug r 1または4に対する0.35 kUA/L以上のIgE抗体値は、クルミアレルギー患者を同定するための最良の診断方法であった(正確度0.93)。
■ クルミアレルギー患者61人のうち、49人はピーカンアレルギーであったが、12人はピーカン耐性だった。
■ クルミ耐性患者の中にピーカンアレルギー患者はいなかった。
■ ふたつともにアレルギーのある患者では、クルミの反応閾値が有意に少なかった(中央値100mg vs 1230mg、P<0.001)。
■ Jug r 4、低分子ビシリン、高分子ビシリンに対するIgE抗体値が0.35 kUA/L以上であることから、クルミ-ピーカン両方のアレルギーの患者とクルミ単独のアレルギーの患者は最もよく鑑別された。
■ 阻害試験により、クルミの前処理はピーカンへのIgE抗体の結合を完全に阻害したが、一部の患者ではピーカンの前処理はクルミへのIgE抗体の結合を部分的にしか阻害しなかった。
結論
■ クルミコンポーネント検査は、クルミアレルギーの診断、ピーカンと両方のアレルギーの患者の特定に有用である。
■ 競合ELISAは、ピーカンがクルミのアレルゲン決定基のサブセットを構成することを示している。
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