カシューナッツ・ピスタチオ両方にアレルギー血液検査陽性の児のうち、ピスタチオアレルギーはどれくらいの率で起こり得るか?

増えている木の実アレルギー。カシューナッツとピスタチオは特に密接と考えられていますが…

■ 木の実類アレルギーは、それぞれ独立して起こることが多く、それぞれのアレルギーの知識が必要になります。

■ そのなかで関係性が近しいものとして、[カシューナッツとピスタチオ]、[クルミとペカンナッツ]の関係性が挙げられます。

■ そのなかでもカシューナッツとピスタチオは特に近しく、個人的にはカシューナッツアレルギーの方にはピスタチオは除去食を勧めています。

■ IDEAL(Impromentment of Diagnostic mEthods for ALlergy assessment)試験」というオランダで行われている研究で、カシューナッツに感作された小児におけるピスタチオナッツやマンゴーとの関連性を調べた結果が報告されています。

Van der Valk J, Bouche Re, Gerth van Wijk R, de Groot H, Wichers H, Dubois A, et al. Low percentage of clinically relevant pistachio nut and mango co‐sensitisation in cashew nut sensitised children. Clinical and translational allergy 2017; 7:8.

カシューナッツ・ピスタチオに感作された29人の小児(平均年齢11.6歳)に対し、ピスタチオナッツによる二重盲検プラセボ対照食物負荷試験とマンゴーによるオープン食物負荷試験を実施した。

背景

■ カシューナッツ、ピスタチオナッツ、マンゴーはアナカルディア科に属しており、植物学的には近縁関係にある。
■ そのため、カシューナッツに感作された小児は、食事からカシューナッツとピスタチオナッツを除去することが頻繁に推奨される。
■ カシューナッツに感作された小児の98%がピスタチオナッツに、21%がマンゴーにも感作されていることを示した「アレルギー評価のための診断方法の改善(IDEAL試験番号NTR3572)」に基づく、このIDEALフォローアップ試験の目的は、カシューナッツに感作された小児におけるピスタチオナッツとマンゴーへの共感作の臨床的関連性を評価することだった。

方法

■ カシューナッツに感作された小児を対象としたIDEAL試験(試験番号NTR3572)では、カシューナッツへの感作がSPTまたはsIgEのいずれかによって示されており、さらに、カシューナッツに対するアレルギー反応歴があり、または過去にカシューナッツへの(既知の)曝露歴がないことが組み入れ基準だった。
■ カシューナッツに感作されているものの耐性がある児は除外された。
■ このIDEALフォローアップ試験では、カシューナッツとの二重盲検プラセボ対照食物負荷試験(DBPCFC)の結果にかかわらず、ピスタチオナッツにも感作されていることが組み入れ基準だった。

■ 追跡調査では、ピスタチオナッツによる二重盲検プラセボ対照食物負荷試験(DBPCFC)とマンゴーによるオープン食物負荷試験が実施された。

結果

■ 対象となった29人(平均年齢11.6歳、男性が62%)では、ピスタチオナッツ感作はカシューナッツ感作児の34%、カシューナッツ負荷陽性児の31%においてのみ臨床的に関連していた。

■ マンゴーに対する負荷試験では、陽性反応を示した小児はいなかった。

結論

■ カシューナッツとピスタチオナッツに両方に感作されている児は98%に観察されたが、ピスタチオナッツ感作が臨床的に関連していたのは小児の34%に過ぎなかった。
■ したがって、カシューナッツとピスタチオナッツ両方に感作がある小児は、ピスタチオナッツによる負荷試験が推奨される。
■ この試験は2012年8月10日にオランダの試験登録において登録された(登録番号3572、レトロスペクティブ登録)。

 

 

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