総IgE値は少量食物負荷における食物アレルギーの陽性予測に役立つ: 症例集積研究

Horimukai K, et al. Total serum IgE level influences oral food challenge tests for IgE-mediated food allergies. Allergy 2015; 70:334-7.

普通に摂取したら、症状は出現する可能性は極めて高くても、少量なら。

■ 今回で100本目の論文紹介になります。

P: 1歳から9歳未満 入院で卵・乳を負荷し、ゆで卵白最大3.5g負荷 をした337例と生乳最大量3.1ml負荷をした 266例
E: 非特異的IgE値により<25%tile、25-75%tile、>75%tileの三群に層別化
C: 年齢により<25%tile、25-75%tile、>75%tileの三群に層別化
O: 非特異的IgEと年齢による層別化はどちらがより有用か

 

結果

■ 卵白・生乳ともに、ロジスティック回帰によるモデルに関し、非特異的IgEによる層別化に有意に適合した(層別化は有用)。

■ 一方、年齢による層別化は有意には適合しなかった。

 

論文から引用。総IgE抗体価に応じ、症状誘発のプロバビリティカーブが変化する。

A:総IgE値で層別化した固ゆで卵白3.5gによるプロバビリティカーブ(PC)。

B: 総IgE値で層別化した生乳3.1mlプロバビリティカーブ(PC)。

C:年齢で層別化した固ゆで卵白3.5gによるプロバビリティカーブ(PC)。

D: 年齢で層別化した生乳3.1mlプロバビリティカーブ(PC)。

 

少量負荷と総IgE値によるグループ分けにより、より実用的な負荷試験の結果を予測できる可能性があります。

■ 先行文献の多くでは年齢による層別化が行われています。対象が異なるため同じ結果とならないのは当然ですが、年齢とともに総IgEが層別化に有用である可能性があります。

■ また、総IgE値と特異的IgE抗体価の比を用いた場合は有意な結果にならないとする先行文献もありますが、総IgE値は対数正規分布に従っても特異的IgE抗体価は対数正規分布に従わないため、単なる比をとっても意味が無いことに言及しています。層別化がより適切です。

■ また、少量負荷量を最大量にしている点が実臨床には有用です。つまり、「少し食べさせてみる」場合の参考になるでしょう

■ この報告は、最初はあまり注目されなかったのですが、その後、総IgE値が重篤な症状を予測するために重要な因子になったりすることも他の報告がされるようになり(Sugiura S, Allergology International 2016; 65:293-9.)、最近引用が増えています。

■ また、「食物アレルギー診療ガイドライン2016」にも収載されました。

 

 

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