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Leaute-Labreze C, et al. A randomized, controlled trial of oral propranolol in infantile hemangioma. N Engl J Med 2015; 372:735-46.

血管腫とβブロッカー。

■ 血管腫は乳児期に頻度の高い良性腫瘍で、3~10%の乳児に見られます。

■ 経過観察して改善を待つことも多いのですが、美容的に問題が残り、心理的にも後を引くこともありますし、顔面に出来た場合や、大きい場合はレーザー治療も選択されることがあります。

■ 一方で、βブロッカーが効果があることが2008年に報告され、大規模ランダム化試験が行われることになったという経緯があります。

 

P: 最小径1.5cmで全身投与治療が必要な血管腫のある生後35~150日の乳児460例 (16カ国の56施設が参加)

E: 1) 1mg/kg/日×3ヵ月間

 2) 1mg/kg/日×6ヵ月間

 3) 3mg/kg/日×3ヵ月間

 4) 3mg/kg/日×6ヵ月間(3mg/kg/日の群は、最初1mg/kg、7日目から2mg/kg、14日目から3mg/kgに増量)

C: プラセボ

O: 24週時点での血管腫の完全もしくはほぼ消失

 

 

結果

■ ランダム化を受けた乳児460名のうち、456例がそれぞれの処置を受けた。

■ 188例の参加者が24週を終了した時点で中間解析が行われ、この時点までに参加者は予定の460例に達しており、最終的に460例でITT解析が行われた。

7、14、21日目、5、8、12、16、20、24、36、48、72、96週に診察が実施され、有効性は訓練された読影者2名によってデジタル写真によって評価された。

■ 安全性評価は、開始時、試験終了時 or 終了5日後に診察、心電図、血糖が評価された。

■ また、開始時、投与量増加時に投与後4時間、プロプラノロール療法に関連するとされる既知のリスク(低血糖、血圧低下、徐脈、気管支けいれん)をモニターされた。

治療群ではプラセボに比較して、有意に効果が高かった(60%対4%、P < 0.001)

■ ただし、プロプラノロール治療群で治療効果があった例のうち10%は、追加の再処置を必要とした。

プロプラノロールに関連する副作用イベント(低血糖、血圧低下、徐脈、気管支けいれん)はプラセボ群と有意差がなかった。しかし、プロプラノロール3mg群と1mg群を比較すると、下痢(22%対14%)、気管支過敏(9%対6%)と高い発生率のように見受けられた。

 

コメント

■ 結果として、もっともリスクベネフィットが高いのはプロプラノロール3mg/kg×6ヵ月間と結論されていました

■ 重篤な副作用はプラセボ群と差はなく、レーザー治療などの処置が不要になる可能性がありますので今後普及してくる治療法と考えられます。

■ ただし、現状ではまだ本邦で使用できる方法ではありません。また、別の報告ですが、プロプラノロールが中枢神経に対する副作用があるかもしれないという懸念も提示されています。私としては、今のところはこの報告の今後を確認していきたいと思っています。

 

※ 2018/2/22 追記。

 2016/7に、プロプラノロールは「ヘマンジオルシロップ」として、本邦でも認可がおりました。

ただし、適応は限られます。

治療が強く推奨される乳児血管腫
(1)生命や機能を脅かす合併症を伴う乳児血管腫
・内臓(肝臓が好発臓器)に生じた乳児血管腫(血小板減少、うっ血性心不全、甲状腺機能低下)
・声門部や気道に生じた乳児血管腫(気道閉塞)
・眼瞼・眼窩内に生じた乳児血管腫(視覚障害)
(2)潰瘍を形成している乳児血管腫
(3)顔面の広範な乳児血管腫
(4)増殖が急激な乳児血管腫
場合によって治療が必要な乳児血管腫
(1) 腫瘤型乳児血管腫
(2) 露出部にある乳児血管腫
経過観察でよい乳児血管腫(ただし、急激に増殖する場合もあるため注意が必要)
(1)瘢痕が残っても気にならない部位の局面型乳児血管腫
(2)瘢痕が残っても気にならない大きさの乳児血管腫
(3)明らかに退縮期に移行した乳児血管腫

さらに、事前の検査も必要とします。

必要な事前検査
【検査項目】
・心拍数測定
・心音聴診
・肺音聴診
・血圧測定
・血糖値測定

以下の検査は必要に応じ実施
・心電図
・心臓超音波検査

 

 日本初の乳児血管腫治療薬

 

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