Paixao ES, et al., Dengue during pregnancy and adverse fetal outcomes: a systematic review and meta-analysis. Lancet Infect Dis 2016; 16:857-65.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26949028
デング熱は、2014年に本邦でも確認され、報道されました。
その後の明らかな流行はありませんが、今年も十分な注意が必要と思われます(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dengue_fever_qa.html)。
P: Medline, Embase, Global Health Library, Scopusを検索し妊婦を検討した研究
(6071名の妊婦16研究はシステマティックレビュー条件を満たし、8研究はメタアナリシス条件を満たした)
E: デング熱感染
C: -
O: 妊婦のデング熱感染が胎児の死産・流産・未熟児出産・低出生体重に影響するか
結果
ケースコントロール、コホート、横断研究、ケースシリーズが含有基準を満たし、症例報告・生態学的研究・レビュー・試験管内の研究・妊娠結果のデータのない研究は除外された。
妊娠中のデング熱感染は、流産をオッズ比(OR) 3.51(95%信頼区間[CI] 1.15-10.77、I2=0.0%、p=0.765)に上昇させた。
死産に関しては1件のみだったためメタアナリシスを行えなかったが、相対危険度(RR) 6.7(95%CI 2.1-21.3)だった。
未熟出生に関してのOR 1.71(95%CI 1.06-2.76、I2=56.1%、p=0.058)と低出生体重のOR 1.41(95%CI 0.90-2.21、I2=0.0%、p=0.543)だった。
コメント
妊娠中のデング熱感染は、未熟児や低出生体重になりやすいとまとめられ、デング熱が確認された場合は妊娠中のモニターが重要であるとされていました。
もちろん、デング熱に感染すると即心配というような数字では全くありません。ただ、夏場など蚊に対する対策をきちんとしましょうという勧告や、本邦での流行が再燃してこないかどうかの情報収集は必要でしょう。
2010年に同様のシステマティックレビューは行われていますが、デング熱と胎児の関連は十分検討できなかったそうです(Obstet Gynecol Surv 2010; 65: 107–18.)。
一方、デング熱重症度に関するメタアナリシスは出来なかったと述べられており、疾患重症度も検討することが必要かもしれないとされています。また、16の研究のうち56%はケース・シリーズであり、出版バイアスがかかった可能性があるとも述べられていました。
一方、ジカ熱は胎児への明らかな神経的な発達への影響があります。どちらにせよ流行地域への旅行なども含め、十分な対策をしていったほうがよいでしょう。