確定診断されたFPIES(新生児・乳児消化管アレルギー)に、他の食物アレルギーは合併しているか?

Miceli Sopo S, et al., Oral food challenge with a mixture of 'at risk' foods in children with FPIES. Pediatr Allergy Immunol 2016; 27:874-6.

確定診断された新生児・乳児消化管アレルギーに、他の食物の消化管アレルギーを合併するか?

■ 正確にはFPIES(Food Protein-Induced Enterocolitis Syndrome)と新生児・乳児消化管アレルギーは近い疾患ではあるものの、本邦と海外では分類が異なりますので、タイトルは正確ではないかもしれません。

■ しかし、わかりやすさを優先し、近い概念としてタイトルのように掲げることにします。

FPIESはミルクによるものが最も多い消化管アレルギーであり、本邦でも時折経験しますが、ミルク以外の食物も原因として合併することがあり本邦の診断治療指針にも、「米、大豆、小麦などに対しても反応を起こすことがあるため、離乳食に備 えてこれらの負荷テストを家庭などで行うとよい」と記載されています

■ 本研究はイタリアからで、FPIES(大部分がミルクによる)に他の食物が原因として合併してるかどうかを検討した報告です。

 

PECO

P: 2013年10月01日から2015年9月30日に、FPIES(OFCで診断、もしくは、少なくとも2つの典型的な発症既往症状に基づく)の診断でローマのアコスチーヌ・ジェメッリ病院の小児アレルギー科を受診した4~11ヵ月の児  * 牛乳FPIES 13人、小麦FPIES 1人の計14人(男児6人、女児8人)。

E: まだ摂取したことのない「危険な」食品(レンズ豆、インゲン豆、大豆、エンドウ豆、小麦、米、鶏肉)の混合物を用いた経口負荷試験

C: -

O: 「危険な」食品に対するFPIESの頻度

 

結果

■ 除外基準は以下の通り。 (i)「危険な」食品(マメ科植物、穀類、鶏肉)の摂取歴、(ii) 免疫応答に基づく慢性疾患もしくは治療、(iii) 本研究に関与する同意がない。

■ FPIES(14人中6人がOFCで確定)の確定診断は平均6.9ヵ月、FPIES発症の初回エピソードは平均3.8ヵ月だった。

■ 確定診断における惹起された反応は、嘔吐(平均回数4.6回)、蒼白75%、傾眠75%、下痢28%、血圧低下が1例で観察された。

■ 登録された小児は、平均7.8ヵ月でマメ科植物(レンズ豆、インゲン豆、大豆、エンドウ豆)、穀類(小麦、米)、鶏肉、ヒスタミン、陰性対照で皮膚プリックテスト(SPT)が施行され、全例陰性だった。

■ 大さじ半分のレンズ豆(タンパク質約1g)、大さじ半分インゲン豆(タンパク質約1g)、大さじ1杯の大豆(タンパク質約2g)、大さじ半分のエンドウ豆(タンパク質約1g)、大さじ2杯の小麦(タンパク質約1g)、大さじ3杯の米(タンパク質約1g)、15gの鶏肉(タンパク質約3.5g)のすべての食品を蒸してスムージーにして単回の負荷試験を行い、4時間観察され、OFCをクリアした患者は、3ヵ月後に電話で確認された。

■ 結果として、14例全例で検査食物の耐性が確認されを解除された

 

本邦でのデータが必要だが、おもったより新生児乳児消化管アレルギーは単一の食物が原因であることが多いのかもしれない。

■ 結果としては、今回のマメ科植物、穀類、鶏肉における”混合”負荷試験では14人全員で陰性で、解除されたことになります。

複数食物によるFPIESは、米国に比較してイタリア・イスラエル・オーストラリアではそれほど一般的ではないそうです

■ 国や地域によって複数食物によるFPIESの頻度が異なるとなると、本邦でも同じような研究結果がほしいところですね。

 

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