Gradman J, et al., Relationship between specific IgE to egg components and natural history of egg allergy in Danish children. Pediatr Allergy Immunol 2016; 27:825-30.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27565949
■ 最近、卵特異的IgE抗体価が、その後の免疫療法のリスクを予測するという結果をご紹介しました。
卵経口免疫療法前の特異的IgE抗体価が高い場合、免疫療法のリスクが高いかもしれない: 事後解析
■ 今回は、各種の卵コンポーネント特異的IgE抗体価が卵の寛解を予測するかという報告です。
P: デンマークのOdenseアレルギーセンターに受診した鶏卵アレルギーが疑われた8ヶ月から8歳(中央値29ヶ月)の児 130人
E: 卵白(f1)・オボムコイド(Gal d1)・オボアルブミン(Gal d2)・コンアルブミン(Gal d3)・リゾチーム(Gal d4)・卵黄(f75)特異的IgE C: - O: 将来の耐性を予測するか |
結果
■ 8ヶ月から8年(中央値26ヵ月)の追跡期間中、130人に対し、287回の負荷試験と287回の血清検査が行われた。
■ 経口食物負荷試験の大多数はオープン試験で行われ、二重盲検プラセボ対照食物負荷試験は7%のみだった。
■ 負荷試験は、殺菌卵により、11mg、44mg、250mg、500mg、1g、7.5g、40g(総量49.305g)を30分間隔で負荷された。
■ 130人のうち、31人は最初の経口食物負荷試験で陰性であり、卵アレルギーは99例で確認された。
■ 卵アレルギー99人のうちの17人は、追跡調査期間以内の再負荷試験を行わなかった。
■ 少なくとも一回の再負荷試験を行った卵アレルギー82人のうち、34人が耐性を示した。
■ 負荷試験の結果は、陽性222例、陰性65例だった。
■ 最も一般的な他覚症状はじんま疹であり、グレード5のアナフィラキシーはなかった。
■ ベースラインの特異的IgE抗体価において、耐性もしくは持続的な卵アレルギーの児に違いはなかった。
■ 耐性獲得は、最初の負荷試験時の閾値と関連し(3.153g vs 1.805g; p = 0.044)、卵白やオボムコイド特異的IgE抗体価の減少と関連していた。
■ オボムコイド特異的IgE抗体価が増加しているケースではすべて再負荷試験が陽性だった。
コメント
■ 先行した卵の寛解を予測する前向きコホート試験は、初回の卵白特異的IgE抗体価高値群のほうが寛解率が低いとしていました。
■ 本研究は特異的IgE抗体価の数値そのものより、時間経過による低下傾向に着目したものになります。
■ 論文中には言及はありませんが、皮膚の状態がどうだったか気になるところです。おそらく抗体価が大きく上がった群というのは、皮膚状態が不安定であったのではないでしょうか。