Epinephrine Auto-Injectors for Anaphylaxis. Jama 2017; 317:313.
エピペンはアナフィラキシー時の第一選択薬です。
■ エピペンは、アナフィラキシーの際、第一選択薬として使用され、本邦でも保険適応となっています。
■ しかし最近、米国におけるアナフィラキシーにおけるエピペンの価格が跳ね上がり、日本でもニュースになっていました。
■ 米国におけるエピペンの現状に関し、JAMAに短報が載っていましたので、参考にご紹介いたします。
海外におけるエピペンの同等製品。
■ 最近、EpiPenとEpiPen Jr(マイラン社)がの価格上昇したことに関するニュースは、アナフィラキシーの応急処置に対する他のオプションがないかを尋ねる患者を増やすかもしれない。
■ Adrenaclickとその同等品(アドレナリン注射液自動注入装置)は、米国において現在利用可能な唯一の代替アドレナリン自動注入装置である。
■ Impax(製造業者)によれば、Adrenaclickはすでに製造されていないが、Adrenaclickの供給が減ったあとも、ノーブランド品は市場に提供され続けている。
■ Auvi-Q(サノフィ社)(2013年にFDAの承認を得たアドレナリン自動注入装置)は、本剤の投与時に、投与失敗を含むエピネフリン投与量の不具合があったため、2015年に市場から排除された。
■ Adrenaclickとその同等品は、大きさと機能においてEpiPenやEpiPen Jrと類似しているが、装置の設計や使用方法が異なるためEpiPenと交換可能であるとみなされていない。
■ EpiPenまたはEpiPen Jrは一セット(2個はいっている)で、608.60ドル(約7万円)である。
■ Impaxの自動注入装置は、一セットで395.20ドル(約4万5千円)である。
■ マイラン社によると、EpiPenとEpiPen Jrは、すみやかにbrandname製品の約半分コストで利用できるようになるとしている。
海外でのエピペンの薬価高騰は、他山の石とはできないでしょう。
■ 本邦は薬価制度があるため、値段が急に釣り上がることはありません。このブログ記載時、エピペン(0.3mg)が10894円、エピペン(0.15mg)が7979円です(今後少しずつ下がる)。
■ 決して安価とはいえないでしょうけれども、米国に比べると随分ましと言えるでしょう。
■ しかし、もし保険適応になっていなかったとすれば、この薬価高騰の余波を受けていたに違いありません。
■ さすがに、この状態は長くは続かないようで、109.9$のジェネリックが上梓されるようですけど、それでも日本のほうが安いですね。
CVS slashes price of substitute EpiPen auto-injectors to $109.99
■ この話題は以前報道され、当時の記事のなかで、発展途上国では薬価が100円くらいなのに高価に釣り上げてけしらんといった記載があったと記憶しています。
■ 値段に関する報道に関しては誤解があり、100円というのは自己注射の機構のないアドレナリン液(=1mg/ml)の値段でしょう(本邦でも100円台です)。実際のコストは30$くらいだそうです。
■ この問題が幾つかの報道でされたように、マイラン社の利己的な行動からであったのかどうかは私にはわかりません。しかし、他山の石にはできない、大きな問題と思います。
■ エピペンは、今後も必要な方々に処方できるようにアクセスを守っていくべき薬剤です。そのアクセスは、あまり高価になって購入できなくなっても、安価になりすぎてメーカーが撤退しても、結局困るのは患者さんでしょう。大事に使っていく薬剤と思います。
今日のまとめ
✅エピペンは、一部の国では値段が高騰し、ジェネリックも存在する。
✅しかし、不具合や機構の違いにより、ジェネリックの普及には至っておらず、ジェネリックですら本邦のエピペンより高価である。
いざというとき学校現場で役に立つ 食物アナフィラキシー対応ガイドブック