■ 第二世代以降の抗ヒスタミン薬(ざっくりいえば、"眠気を少なく改良された製品")は多種多様にありますが、第二世代抗ヒスタミン薬同士を直接比較した研究は極めて限られています。
■ 今回、セチリジン(製品名ジルテック)、ロラタジン(製品名;クラリチン)の、小児アレルギー性鼻炎に対する比較試験がありましたのでご紹介させていただきます。
■ なお、現在の私の環境では全文が読めず、abstractのみのまとめですが、きれいな結果ですので問題はないかと思います。
E1: セチリジン(商品名;ジルテック) 10mg 1日1回 2週間 231人
E1: ロラタジン(商品名;クラリチン)10mg 1日1回 2週間 221人
C: プラセボ 1日1回 2週間 231人
O: 14日間の 平均総症状スコア(total symptom severity complex;TSSC)の変化
結局、何を知りたい?
✅こどもの季節性アレルギー性鼻炎に対し、ジルテックとクラリチンの薬効の差を確認しようとしている。
■ セチリジンを用いた治療を受ける小児は、14日間でプラセボ群に比較して有意にTSSCスコアが減少した(最小二乗平均変化、-2.1対-1.6; p = 0.006)。
■ セチリジン対ロラタジン群(-2.1対-1.8; p = 0.124)、ロラタジン対プラセボ群(-1.8対-1.6; p = 0.230)の14日間におけるTSSCスコア改善は、統計的に有意でなかった。
■ セチリジン、ロラタジン、プラセボ群における有害事象は、頭痛(それぞれ3.5、3.6、3.1%)、咽頭炎(それぞれ3.5、2.7、3.5%)だった。
■ 傾眠は、セチリジン群3人(1.3%)、他の群ではいなかった。
結局、何がわかった?
✅14日間の小児アレルギー性鼻炎の治療において、ジルテックはプラセボより効果があったが、クラリチンは有意な差がなかった。
■ 6-11歳の小児の季節性アレルギー性鼻炎症状の治療において、プラセボに比較してセチリジン10mgは統計学的に有意に有効だったが、ロラタジン10mgとプラセボ群による有意差が認められなかったとまとめられます。
■ この報告が正しいのであれば、クラリチンを使用している患者さんはジルテックに変更したほうが良いということになります。
■ 前も書きましたが、多くの病院と同様、当院は使える薬剤が限られていて、新規の薬剤を導入するためには他の採用薬剤を削除する必要性があります。いわゆる「一増一減」の原則です。
■ ザイザルシロップを導入するときにジルテックドライシロップを削除されているため、この報告を読んで、どうするべきか頭を抱えてしまいました。
■ 増えていく薬剤に対応するためには仕方ないのかもしれませんが、せめて院外処方の薬剤に関しては、もう少し柔軟に対応できるようにしていただければうれしいと思うこともよくありますね、、。
今日のまとめ!
✅小児アレルギー性鼻炎治療において、ジルテックの効果は有意だが、クラリチンの効果は不十分かもしれない。
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