小児と成人で、舌下免疫療法の有効性に差があるか?
■ 今年はスギ花粉の飛散が多いです。
■ 来年以降はどうなるか…というと、残念ながらスギ花粉の飛散がおさまることはなく、私達が生きている間は続くことになります。
■ すなわち、『スギ花粉が大量飛散する環境』に適応する必要性があります。
■ そういったなか、2018年から小児にも使用できるようになっているのがスギ花粉舌下免疫療法です。
■ 成人と小児の舌下免疫療法の臨床的な差を比較した研究結果が報告されていましたので共有します。
Kim JY, Rhee CS, Cho SH, Choe G, Kim DY, Han DH. House Dust Mite Sublingual Immunotherapy in Children Versus Adults With Allergic Rhinitis. American journal of rhinology & allergy. 2021 Jan;35(1):9-16.
ダニに感作され、舌下免疫療法を2年以上受け、鼻症状と鼻結膜炎QOL調査票(RQLQ)スコア、免疫学的パラメータの血清検査を受けた患者70人(成人44人、小児26人)を検討した。
背景
■ SLITの臨床的有効性を小児と成人の間で比較した研究は、まだ少ない。
また、免疫学的パラメータや生活の質(QOL)など、治療に関連する他の要因に関する研究も不足している。
目的
■ 舌下免疫療法(SLIT)の効果を、臨床効果、生活の質(QOL)、満足度、免疫学的パラメータ、有害事象などの様々な要素について、成人と小児で比較する。
方法
■ ダニに感作され、SLITによる治療を2年以上受けた被験者が登録された。
■ 初回、1年後、2年後のフォローアップ時に、鼻症状と鼻結膜炎QOL調査票(Rhinoconjunctivitis Quality of Life Questionnaire; RQLQ)スコアを測定するアンケートに記入し、免疫学的パラメータの血清検査を受けた患者70名を選び、年齢に基づいて、小児群(4~12歳、n=44)と成人群(19~59歳、n=26)に分けた。
結果
■ Total Nasal Symptom Score(TNSS)は、小児群、成人群ともにSLIT2年後に有意に減少した(いずれもp < 0.001)し、ベースラインからのTNSSの変化には両群間で有意差はなかった(p = 0.365)。
■ 成人群では、小児群よりもSLITに満足している患者が多く(p = 0.050)、ベースラインからのRQLQスコアの変化は成人群で大きい傾向があった(p = 0.089)。
■ また、ベースライン時の免疫学的パラメータの値は、小児群の方が成人群より有意に高かったが、これらのパラメータの値の変化には有意差はなかった。
結論
■ 多くの成人患者がSLITに満足していたが、鼻の症状に対するSLITの臨床効果は、小児群と成人群で同等だった。
■ ベースライン時の免疫学的数値が両群で異なっていたにもかかわらず、免疫学的パラメーターの変化パターンに差はなかった。
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