舌下免疫療法のタブレットを置く場所は、『舌下』以外にはないか?

舌下免疫療法(SLIT)の安全性と有効性:舌下以外の代替ルートはある?

■ 舌下免疫療法(SLIT)は、広く実施されるようになりました。

■ しかし、開始時の口腔内の症状(刺激感、かゆみ)を中心とした副作用をおこすことがあります。

■ 最近、日本における4年間の市販後調査による分析結果があり、ダニ舌下錠剤の有害事象のほとんどは、開始早期に発生し、局所的な反応だったとされています。

Okamoto Y, Kato M, Ishii K, Sato Y, Hata T, Asaka Y. Safety and effectiveness of a 300 IR house dust mite sublingual tablet: descriptive 4-year final analysis of a post-marketing surveillance in Japan. Immunotherapy 2023; 15:1401-14.

■ 別の研究では、ダニ舌下免疫療法SLIT錠による検討で(日本の製剤と同じではない)、喉の刺激感(46%)、口腔内のかゆみ(47%)、耳のかゆみ(40%)、口腔内の腫れ(8%)、舌の潰瘍(10%)、口腔内潰瘍(7%)などがあります。

■ 海外の検討では、舌下免疫療法の有害事象による投与中止率は7%以下であるとされています。

Bernstein DI, Bardelas JA Jr, Svanholm Fogh B, Kaur A, Li Z, Nolte H. A practical guide to the sublingual immunotherapy tablet adverse event profile: implications for clinical practice. Postgrad Med. 2017; 129: 590-597.

■ なぜ舌下に使用するかというと、舌の下には免疫療法に重要な、樹状細胞や免疫寛容を誘導するT細胞が多く存在するからです。
■ しかし、口腔前庭部にも、そのような細胞が多いそうで、もしかすると、舌下にかわるルートになるかもしれないと考えた研究があります。

■ カナダののアレルギー専門クリニックで行われた検討です。

Simard M-L, Novak N, Drolet J-P, Joly M-C, Nolte H, Wuestenberg E, et al. Tolerability of sublingual versus vestibular allergy immunotherapy tablet administration: A randomized pilot study. Clinical & Experimental Allergy; n/a.

18~65歳のアレルギー性鼻炎/結膜炎を持つ成人164名が、舌下投与と前庭投与のいずれかにランダム化され、シラカバ花粉、イネ科花粉、ブタクサ花粉、ダニのアレルギー免疫療法錠剤を毎日投与し、28日間は前庭投与または舌下投与を行い、その後28日間は舌下投与のみを行った。

背景

■ アレルギー性鼻炎/結膜炎(AR/C)治療用の舌下投与型アレルギー免疫療法(AIT)錠剤は、投与した局所部位の反応がしばしば見られ、治療中止に至るケースもある。
■ 一方、前庭粘膜の肥満細胞密度は舌下領域よりも低いことから、前庭AIT錠剤の投与が有害事象(AE)を減少させる可能性がある。
本パイロット試験では、AR/Cに罹患している成人被験者を対象に、AIT錠剤の前庭投与経路と舌下投与経路の忍容性を比較評価した。

目的

■ この試験の目的は、AIT錠剤の前庭投与経路の忍容性を舌下投与経路と比較することである。

方法

■ シラカバ花粉、イネ科花粉、ブタクサ花粉、ダニAIT錠剤を毎日投与された、18~65歳のAR/C成人被験者164名を、28日間の前庭投与または舌下投与に1:1でランダム化し、その後28日間は舌下投与のみを行った。
■ 主要エンドポイントは、治療開始後の28日間に発生した局所的な治療関連有害事象(TRAE)の重症度(軽度、中等度、重度)だった。■

結果

■ 最初の28日間において、軽度のTRAEを報告した被験者の割合は、前庭投与群で55.6%、舌下投与群で50.6%であり、中等度のTRAEは前庭投与群で27.2%、舌下投与群で30.1%、重度のTRAEは前庭投与群で12.3%、舌下投与群で6.0%だった(p = 0.16)。

■ 前庭投与群では、被験者の95.1%が最初の投与期間中に少なくとも1回のTRAEを経験し、舌下投与群では81.9%だった(p = 0.01)。
■また、AEによる投与中止率は前庭投与群で12.3%、舌下投与群で3.6%だった。

結論

■ AIT錠剤の投与開始時に重篤なTRAE、少なくとも1つのTRAE、AEによる中止を経験した被験者の割合は、舌下投与よりも前庭投与の方が高かった。

■したがって、AR/Cに対するAIT錠剤の標準的治療法としては舌下投与が適していると考えられる。

 

 

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